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序章
もう、おしまいだ。
この村には未来がない。
あのペテン師がここに来て以来、村のみんなは奴の教えにすっかり心酔してしまい、今では村のあちこちにて殺しが横行している。今日も八人が死んだ。
助けを求めようにも、ここはテキサス州の州都からずっと離れているし、昔からの習わしで他の町にいる人間とは関わりを作ってはならない。
村にも銃はあるが、用心のために置いてあるだけで、上手く使える者は殆どいない。故に、まともに奴らと戦おうなどとすると、いつも決まって殺される。
そう、村を助けてくれる者など、誰一人としていないのだ。
誰かが来てくれたら話は違うが、陸の孤島であるこの村を知っている人間はゼロに等しい。望みすらないのである。
こうなってしまっては、後はもう、神に全てを委ねるしかない。
誰もがそう思っていた。
諦めと絶望の中、村人達はただ祈るだけ。
全てが終末に向かっている時、ひとつの奇跡が起こる。
現れたのだ。
救い主たる、あの三人が!