あるく
「おはよー!こう、ぎょく、ひめ!」
早朝(日の出前)、グランジュの大声で少し目が覚めてから、少し起き上がって…横に戻って二度寝する。
…。
……。
………。
「おはよー!こう!!」
「わっ!」
お気に入りの薄い桃色のベッドから転がり落ちた…痛い。
「おそいぞー!こう!!ぎょくとひめは、とっくにしたく終わってるぞ!」
「…そうだろうねー」
「さ!いくぞ!湖都市!」
ぐいっと引っ張られ、洗面所へ連れていかれ身支度をする。
「髪わちゃわちゃなおーーーる!」
「魔法って便利だよねー」
「ダークエルフですからね!ちょちょいのちょいよ!」
でも、見える色はダークエルフじゃない。
「んで、ごはんは?なんが食べたい?」
「めだまやきトーストー」
「ほいよー!」
「はいはーい」
グランジュの声が台所にいる妃の耳に届き、冷蔵庫から卵とマヨネーズを取り出し調理を始める。
身支度が終わり、台所でのんびりしている玉と妃に挨拶する。
「おはよー玉ちゃん、ひめー」
「おはよう煌ちゃん」
「おはよ。お寝坊さん」
じゅうじゅうパチパチと食欲をそそる料理の音がする。
…コンコンコン!パカッ…!ジュゥワァアアアアアアアア!!
カシャ…、チチチチチチチチチ…、2分くらい経過。…チチチチチ、チ…、カッ!シャン!
スッ…、ヌリヌリ、のせのせ、タラリ…。
「ほい!できたよ!」
「ありがとー。もぐもぐ…もぐもぐ…」
「これ、これ…いただきますは、しとき?」
「もぐもぐ…、もぐもぐ…、もぐもぐ…、ごっくん。…この世界に流れる生命の循環に、Cordial Gratitude.” said Kou.いただきまーす」
「よろしい」
しずかに手を合わせて、お辞儀をして、いただきますの言葉を紡いで言霊にする。
「もぐもぐ…、もぐもぐ…」
「で、きょーの予定!歩いて湖都市に行く!」
「ももふまふもらふらもっも?」
「移動魔法は使いません!歩いていく事に価値があるんだよ!」
「もー…」
「いや、食べてから言いな?煌?」
グランジュの謎こだわコダワ拘りである。