かぞく♥
「ばんわー!こう、ぎょく、き!」
勢いよくドアを開け、晩御飯の最中にも関わらず。
ずんずんズンズンと遠慮なく入って椅子に座り、ニカっと笑う来客。
「もぐもぐあ、もむんっふ」
「いや、食べてから言いな?煌?あと…、グランジュ。妾は“き”じゃなく“ひめ”じゃ」
「そだねー妃!あ、明日空いてる?空いてるよね?じゃあ、湖都市いこう!」
来客の名前は、グランジュ。
ピカピカ太陽の光で体を茶色にし、自らダークエルフと名乗るエルフである。
「わかりましたが…、そろそろ冬になるのに寒そうな格好ですね?」
「ぎょく!オシャレは根性だって言ったでしょ!」
「そうでしたわね」
灼熱と極寒の砂漠で生まれた伝統舞衣装は、あたたかい室内で踊れる薄い布で…口、腕、胸、腰、脚を包んでいる。
つまり、スケスケでエッチだ!
「それに、いざって時には魔法でちょちょいのチョイよ!」
「いいぁーえるふは、まふぉううかえてー」
「こう!わたしはダークエルフよ!」
「ごっくん…うまー!そだった!」
だって集中しなくともエルフは、独特の色が見えてしまうもん!
だから…よく間違えるのは仕方ないよね?
「んで?食べていくの?」
「もちろん!食べていく!ひめ大好き!」
「はいはい。わたしも好きよグランジュ」
あらかじめ作っておいた晩御飯をグランジュの前に運び終わると、妃とグランジュは親愛のキスをした。
「グランジュと妃さまは、いつ結婚するの?」
「ん?ああ、いつか結婚するよ!こうは、ぎょくと結婚したいか?」
「んー…」
(ドキドキ)
かわいい玉の顔見て、胸を見て、お腹を見て…考えた。
「うん、お嫁さんにしたい!」
(キュン!)
「煌と玉は、まだまだ幼いから結婚の意味分からんと思うぞ?」
「そうだろうか?」
知ってる。
結婚とは…それ即ち!お腹に赤ちゃんがいる事だ!!
「この顔は…!知ってるな!こう!」
「もちろんです…!なんども尊敬する人と会話して賢くなってるからな!」
(キュンキュン!)
「いや、間違えてる氣がする…」
にぎニギ賑やかと食事できる家族っていいよねー。