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囚人番号119

丸めた新聞紙でギンシニスがスラグの剣を止めていた。しかし、力負けしたギンシニスは少し吹っ飛ばされた。そこを俺が片手で止めてやり、俺達は再び構え直した。


スラグ「仲間か?」


チベット「014番!!貴様も収容違反か!!」


ギンシニス「看守。あのままではモンザイザイも死んでいました。それに、力の差は目に見えているのでは?」


チベット「自分で撒いた種だ!罰を受けるのは当然だろう!」


スラグ「いいですよ、チベット看守。これで少しは本気が出せそうだ。」


ギンシニス「行くぞ。」


ギンシニスの持っていた新聞紙が炎を纏った。そのままスラグに向かって突き攻撃をする気だ。


スラグ「なるほど、これが名前と能力を付与するスキルか。しかし……」


奴は自分の前で剣を軽く振ると水が湧き出し壁を作った。俺はギンシニスの前に飛び出し、水の壁を殴りまくった。完全に固めることはできないがゼリー状にならできる。水の壁は崩れスラグにくっつく。

俺をギンシニスが飛び越え上から丸めた新聞紙を突き下ろした。纏った炎は消えた。それと同時にスラグはのたうちまわった。


スラグ「ウグググ……ガァアアギィイイ!!痺れるゥウ!!」


ギンシニス「私がこの新聞紙に付与していた能力は3つある。切れ味と雷属性、そして幻影だ。まんまとかかったな。」


スラグ「ば、バカなぁア!!俺の作り出す水は純水のはずっ…………!!いくら高電圧を流そうとも……!!…………混ぜたな!!火を消すときに……地面に擦り付けた腕の出血を利用したなぁ!?」


モンジィー「俺が吹っ飛ばされたギンシニスを受け止めた時、奴が俺にちょっとつけた新聞紙からビリッときたんでな。」


ギンシニス「流石にお前でもあの意味が分かったのか。」


モンジィー「ふん、雷属性だけに痛い程分かったぜ。……さて、ギンシニスの能力が適用されたのは水だ。だからお前の能力無効も意味がない。さらに、俺がゼリー状に固めた水はお前の服にも体にもまとわりつくんで自動回復したところでまたダメージを受けるだけだ。俺の勝ちかだな?」


ギンシニス「俺達の。だろ。」


その時、チベットのサーベルが伸び、器用にスラグの服を細切れにし、まとわりついていたゼリー状の水を取り除いた。


チベット「貴様等!!本気で私を怒らせたいのか!!冒険者殿!!御無事でありますか!?」


スラグ「あ……あぁ……久しぶりに骨のある相手と闘えたよ。それと、今はこの地下牢獄には俺の求めるような囚人はいないみたいだ。近いうちにまた来させてもらうよ。」


何事もなかったかのように立ち上がりやがった。もう回復しやがったのか。


チベット「そうですか。ではお見送りいたします。」


チベットとスラグは階段を上がっていった。

俺とギンシニスはそそくさと自分の独房に入っていった。


モンジィー「にしても、お前鉄格子なんて切り抜いて大丈夫なのかよ。」


ギンシニス「どうせ、奴は私達の会話を聞いていたのだから私達に脱獄する気が無いことくらい分かってる筈だ。」


モンジィー「なんの根拠も説得力もねぇな。」



十数分後、チベットが戻り鉄格子に触れると鉄格子はゴムのように伸び、切り抜かれた場所は元のように塞がれた。こんな使い方もできるんだな。

その時にはもうギンシニスは寝ていた。奴の能力は相当体力を消耗するらしい。それに釣られて俺もその日は早めに寝た。



次の日、ギンシニスは俺の方を開いた方が塞がらないといった顔で見ていた。と思ったが奴が見ていたのは俺の独房よりも右の方を見ていた。俺が何してんだって顔で見ると奴は独房の洗面所の鏡を外し、俺に見せてきた。鏡には俺の独房の右の独房に三角帽子を被り、ローブを纏った少女がニコニコと笑っていた。しかし、驚いたのはそんなことじゃない。少女の独房は独房と言うよりお城の部屋のように飾られていた。豪華なベッドもあるしタンスもある。洗面所だって金色の装飾が施されている。独房の広さは俺の倍以上もある。本当に訳が分からなくなった。


そこに丁度朝食の時間になったらしくチベットが食事を3人分もってきた。


チベット「起きていたのか。001番に014番。ほれ、食事だ。ん?014番。何故、洗面所の鏡を外している?」


ギンシニス「なんでもないです。」


チベット「今日から収容されることになった囚人番号119番  マクラーニ・フェリ・コ・スザンナだ。」


モンジィー「おい。」


チベット「なんだ。」


モンジィー「どう言うことだ。あの独房は。」


チベット「どうしたもこうしたものない。ただの独房だ。」

そう言い残し朝飯を置いていった。朝飯もあのマクラーニ、だっけ?は豪華だ。全くひでぇ垢贔屓しやがるぜ。


マクラーニ「う〜ん♪ここの料理はおいしいですねぇ♪……ん?貴方達は食べないのですか?」


モンジィー「こいつ……!」


ギンシニス「私達はとっくに食べ終えたよ。」


マクラーニ「そうですか。」


顔は今は見えないがムカつくってことは確かだ。


ギンシニス「えっと……あんた、魔法使いだよな?」


マクラーニ「如何にもタコにも魔法使いですよ。」


ライラ「それはおかしな話ッスね。」


モンジィー「ビックリしたぁ!」


ライラ「普通、魔法使いは王国の大事な人材。仮に犯罪を起こしても隠蔽やら工作やらで無罪になるはずッス。」


マクラーニ「いやぁ〜私、城の東塔で魔法の実験をしてたんですけどぉ。ちょ〜と失敗して塔を消し飛ばしちゃいました♪で、国の魔法使いがこんな不祥事を起こしたなんて世間に知れちゃいけない〜ってここに来たんですよぉ。世間では私は事故死したことになってましてぇ。アハハ☆」


モンジィー「……」


ギンシニス「……」


ライラ「ちょっと髪の毛貰うッスよ。」


マクラーニ「どうぞどうぞ!」


ライラ「うわっ!すごいッス!能力はなんと触れたことのある魔仗を遠隔操作できるようッス!」


マクラーニ「すごい!貴女、他人の情報を見ることができるんですか!?」


ライラ「いやぁ、それ程でもないッスよお。マクラーニさんに比べればまだまだッス!」


モンジィー「おい、ギンシニス。」


ギンシニス「なんだ。」


モンジィー「こいつらのテンション、すげぇ疲れる。」


ギンシニス「同感だ。」


会話を途切れ途切れに聞いてみるとライラの奴、極楽穢土に勧誘してやがる。まぁ、クラスAの囚人と敵対しない方がいいってのは確かなんだが。



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