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過剰防衛

序盤の会話は実際はモールス信号です

早速次の日、ギンシニスが考えた通信手段が使われた。俺はポケットまで手が届かないんでかかとのそばに紙切れを置いていた。紙切れが震えて壁を叩く音が聞こえた。その時ギンシニスは壁にもたれて新聞を読んでいて壁を叩いている様子はなかった。最初に話したのはライラだった。


ライラ「ちょっと聞いてくださいッス!!」


ギンシニスの教え方が良かったのか俺の頭の出来が良いのかモールス信号でも以外と自然な感じに聞こえる。


ギンシニス「なんだ。」


ギンシニスが新聞を読んでいる振りをして壁を叩き始めた。


ライラ「クラスBから上の階は食事の時は食堂で配膳されるんスけど、あるグループに自分の朝食取られちゃったッスよぉ……あいつらは今日入ってきた新入りなんスけどここに来る前から知り合い同士だったみたいでクラスBは今もうめちゃくちゃッス!助けて!」


俺とギンシニスは同時に大きなため息をついた。

俺もつま先で地面を蹴りモールス信号を送った。


モンジィー「俺らにゃ関係ねぇだろ。自分でなんとかしろ。」


ギンシニス「そうだぞ。クラスBの勢力の状況を独房に入れられている私達がどうにかできると思うのか?」


ライラ「そうじゃなくて、今そのグループの奴らが「クラスAだからって調子に乗っている奴らに礼儀を教えてやる!」って行ったから伝えただけッスよ!」


モンジィー「それを早く言え!!」


ギンシニス「無駄な身の上話をするな!とにかく一旦この会話は終了するぞ!」


ギンシニスの信号を最後に紙切れは静かになった。と同時に俺達は再び大きなため息ををついた。

すると上からざわざわと会話する声が聞こえた。

5人か。カラフルな髪の毛をした16歳くらいの奴らがニヤついた表情で降りてきた。

俺もギンシニスもできるだけ威圧感を与えるように表情を変えた。俺は胡座をかきながら片方の眉毛を上げ歯軋りさせた歯を口元から覗かせた。ギンシニスは壁にもたれて腕を組み海藻の様に垂れ下がった前髪の間から光のない目で上目遣いのように睨み付けていた。

すると緑髪のやつが


「オォ、オォ!!怖いねぇ!お兄さん達ィ!!」

と腰を振りながら言った。次に赤髪の奴が

「ホォ……オメェが闇の商売人 ギンシニスか?どんな奴かと思えば、モヤシみてぇなヒョロ長い身体しやがるぜ!」


オメェらはちっこすぎるんだよ!小鳥みてぇに群れで突っつき回しやがってよぉ!と言いたかったがやめておいた。怖いからじゃない。アホに何言おうが無駄だからだ。

今度は青髪が

「こっちの奴は中々良い図体してるじゃねぇか。195cmはあんじゃねぇのか?カッコつけて鎖に繋がれてるぜ。」


オレンジ髪「それにしてもわからねぇなぁ!ど〜してこんな奴らより俺達の方が小物扱いされたんだか。」


緑髪「へへっ!全くだぜ!」



別に好きでクラスAなわけじゃねぇんだがアホだから仕方ないか。

あと紫髪はずっと後ろで笑ってる。本当に何しに来たのか分かんねぇ。

階段の影からライラが覗いているのが見える。ギンシニスも気付いたらしくさっきまでの高圧的な表情に少し苦虫を噛んだような表情が混じっていた。


俺がギンシニスの方を見ているとまた緑髪の奴が「どこ見てんだ!テメェは!!」

と鉄格子に顔を近づけた。

俺はちょっとした歓迎代わりにこの前のジョニーが残していった壊した壁の破片を奴の額に蹴ってやった。


緑髪「イッテェ!!何しやがんだ!!」


ちっちゃな破片とはいえかなり強めに蹴ってやったんで少し出血してんのが見える。


緑髪「おい!こいつのやったこと見たよなぁ!?」


赤髪「ああ、見たぜ……」


青髪「こいつには礼儀を教えてやらねぇとなぁ?」


今まで道の真ん中にいた奴らは一斉に俺の方を向いて首の骨を鳴らしたり指の骨を鳴らしたりし始めた。オメェらに教えてもらう事はありませんよぉ〜だ。


モンジィー「一つ聞きたいんだが檻の外からどうやって俺を教育する気だ?」


緑髪「あぁ、それはだな……」


奴が再びニヤついた表情をすると鉄格子に身体を密着させ、次の瞬間鉄格子は緑髪の身体に泥沼に入るように擦り抜け、奴が入ってきた。緑髪だけじゃなく全員同じ能力を持っているらしく次々に独房の中へとはいってきた。


緑髪「いくらオメェが強くったってこの人数でしかも鎖に繋がれてるんじゃあ勝ち目ねぇよな?」


予想外。てっきりまた遠距離攻撃の類かと思ってたがまさか突き抜けてきての物理攻撃だとは。


緑髪にさっきのお返しだと言わんばかりに顔面への膝蹴りを喰らう。次は首筋に肘打ち、今度は左右にいた赤髪と青髪が脇腹に蹴りを入れる。更に緑髪の後ろからオレンジ髪と紫髪が同時にドロップキックだ。俺の鼻はへし折れ頭からも血を流している。それでも奴らの攻撃は止まらない。スネを踏みつけられ口につま先を突っ込まれ鎖で繋がれた腕に関節技。その時に俺は少しだけ俺の手に関節技を入れる青髪と赤髪に拳をぶつけてやった。後はただ痛みに耐えた。破片がギンシニスに届くまで。


俺は殴られている最中に少し足踏みをしてモールス信号を送り、ライラにさっき俺が蹴っ飛ばして道に落ちている破片をギンシニスに渡すよう頼んだ。さっき奴らがギンシニスの事をモヤシだなんだ言ってたが意外とあいつも鍛えてるんで筋肉があるんだよ。


緑髪「さて、そろそろ飽きてきたしそろそろトドメでも……っておい!!」


奴が振り向いたと同時に青髪が胸から血を吹き出して倒れた。側には血のついた壁の破片が転がっていた。向かいの独房ではギンシニスが手首のストレッチをしていた。


モンジィー「ホラよ、パス!」


俺は破片を蹴り再びギンシニスに渡した。


ギンシニス「よ〜し。次はまだ練習中だがサイドスローで投げるぞ。」


ギンシニスは片足を胸まで上げ破片を持った手を後ろに突き出したあと腕を横に振り破片を投げ飛ばす。破片は右下に飛んでいき赤髪の太腿に直撃するが鉄格子の時のように破片は擦り抜けた。


ギンシニス「すまない、少しズレた。」


モンジィー「大丈夫だ。1人やっただけでも上等だ。」


俺は立ち上がり胸くらいまでしか背丈のない奴らを見下ろした。


モンジィー「さっきはよぉ……やってくれたなぁ……!」


緑髪「や、やってくれたって、オメェが先に手ェだしたんだろ……」


かなりの体格差に今までの勢いも削げ落ちたらしい。だいぶ細い声になった。


モンジィー「ん〜??聞こえねぇなぁ!俺は都合悪い事は忘れる質なんだ。それに、クラスAを舐められたんじゃあこれから入ってくる奴らにも申し訳が立たてねぇ。」


緑髪「へ、へっ!1人やったくらいで調子になんじゃねぇ!!まだ俺達の方が有利なのは変わらねぇんだよ!」


モンジィー「テメェらど〜しても分からねぇんだな?」


緑髪「な、何を?」


モンジィー「どんな奴がクラスAに入るかだ。」


緑髪「は、はあ!?」


モンジィー「クラスAってのはなぁ……いつでも脱獄できるがしたくねぇ奴が来るとこなんだよ。」


そんな基準じゃねぇ事は確かなんだが正直こいつらには地獄を見てもらいたかったんで脅しをかけてやった。


モンジィー「ん……ヌゥウウウウウググ……!」


俺は身体中にありったけの力を込めて前進した。

歯を思いっきり食いしばり身体のあちこちから血管が浮き出した。


モンジィー「グリャアアアアイ!!」


最後の一押しってところで俺が手を前に突き出すと壁にはヒビが入り鎖と壁を繋ぐ金具が壁からひっこぬけた。


緑髪「こここ、こいつ、鎖を引っこ抜きやがった!」


青髪「逃げろ!!」


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