プロローグ
俺は家庭の事情で現在、妹と二人暮しをしている。
妹と言っても血は繋がってない。
まあ、こちらも家庭の事情があった
だがそんな妹は―――――
部屋から出てきてくれません。
俺と妹が初めて顔を合わせた時、母さんの後ろに隠れて顔すら見せてくれなかった
そしてまあ、部屋で何をしているのか知らないが、妹が家に住み始めてからずっと部屋から出てきてくれない
正直、本当に俺の妹は存在するのか? と思ってしまう。
だが、実際に今妹の部屋からドンドンと騒ぐ音が聞こえた
「たく、部屋に籠もって何してんだよ…」
俺が唯一、妹の生存確認ができるのは一日に何度かある騒いでいる音か、部屋のドアを叩いてご飯持ってこいの合図しかない
これ、俺に妹がいるって知らないやつが家に遊びに来て妹からの唯一の生存報告が来たら軽くホラーだと思う。
だが妹が家に住み始めてから一年、いい加減にこのやかましい音にも慣れてきた
まあ、そんな存在はしている妹の事よりもやるべき事がある。
「おっ始まってるな」
最近俺には新しい楽しみができた
それは有名な小説家である。小春先生による雑談配信だった
小説家で雑談配信もどうかと思うが、小春先生の小説は物凄く人気が高く、アニメ化されている作品も数多くある。
だが小春先生はTwitterに人見知りなのでサイン会などはありません。と自己紹介に書くほどであり実際にサイン会などはやってない。
だが唯一小春先生に会えるのがこの雑談配信だ、雑談配信と言ってもコメントされた物に対して返事をするだけの配信だ
ご丁寧に顔が映らない位置にカメラを置いていて配信事故な感じで素顔が見れないかなと思って入るがそんなことは一度も無い
しかも変音機で声を変えており、男なのか女なのか全く分からない。
ネームである小春から女性と思う読者が多くよく雑談配信の質問で性別を聞かれるが小春先生は『そんなのは自分達で決めな』と言っている。
雑談配信では基本、男口調で本当は男なんじゃないかとネット上で意見が別れている。
「小説家になった理由?」
俺のノートパソコンにはコメントされた質問に返事をしようとしている小春先生がいた
「俺、学校に行くのがすっごく嫌で、どうにか学校に行かない方法はないかな?って探してたんだ」
「で、それなら仕事をしてお金を貰えば仕事しているから学校にはいけません!って言えるじゃん?だから小説家になった」
毎回、小説家になった理由は?とコメントに聞かれると同じことを言う。コメントでは『学校行けww』『よし、俺も小説家なるかww』『だから所々日本語おかしい所があるんですね(小声』など言われている。
「うっせーな、いいだろ別にお金貰ってるんだから!」
小春先生はそう言いながらも楽しそうな声でコメント返事をやっていった
「あ、もうこんな時間か、それじゃあ今日の配信は終わり、じゃあなー」
小春先生はそう言うとカメラを切ったのだろう、画面が黒くなり配信終了となった
小春先生も学校に行ってない引き篭もりだろうけど、それでもちゃんと仕事してるんだもんなー
俺の妹も引きこもってないで学校に行ってほしい