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魔法少女はヒーローの夢を見る  作者: 染島ユースケ
第3章
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12

 空の言葉で、意識が引き上げられた。


 何をやっていたんだろう、と七星は思う。


 今更になって気づかされた、ヒーローの真理。


 ヒーローは、外的要因で作り上げられるものじゃない。見た目で決まるものでもなければ、誰かが決めつけるものでもない。


 ヒーローは、心の奥から、目覚めさせるものだ。


 自分にとって大切なものを、守るものだ。


 じゃあ、神崎七星の大切なものは?


 そんなの、決まっているじゃないか――


「いゃあああああっ!」


 叫びと共に、ティンクルは廻へと切りかかる。


 刃と刃がかち合うたび、鮮やかに散る火花のエフェクト。闘争の熱が、電子仕掛けのライブハウスに戻ってくる。


 いや、ただ戻ってきたわけじゃない。


 さっきまでより、数段上のレベルで闘いが展開されている。


 目にも止まらぬスピード。一瞬の判断と駆け引きの応酬。剥き出しの闘志。そして、それを心の底から楽しむ2人がいた。


「やるねぇ!」

「そっちこそ!」


 鍔迫り合いから、弾け飛ぶように離れる2人。お互いの、正義のために闘う真剣勝負。その時間は尊く、濃密だ。それゆえに、激しく体力を損耗する。


 急所を外しながらも、小さなダメージを積み重ねていた双方のHPゲージは残り3割を切っていた。


 すると、廻は頭部のプロテクターを半透明モードに切り替えた。


「なあ、七星。次の一撃で終わりにしようか」


 刀を構える。その柄の部分から剣先へと、淡い光が流れ込む。魔力が注入されている。


「奇遇だね……ちょうど、あたしも同じこと考えてた」


 ティンクルも呼応して、刀を構えた。


「廻のやってるそれ、こうすればいいの?」


 すると、ティンクルの刀も光を帯びた。廻と同じ、魔力による武装強化。


「おいおいそのやり方、誰から教わったんだあ?」

「見よう見まねよ。廻、前のワーム戦でもやってたでしょ?」

「ハハッ! 確かに難しくはねえが、まさか独学かつこんな短時間でモノにするとはな! お前やっぱりすげぇわ!」


 感心して破顔した廻だが、すぐに目の色が変わる。獲物を狙う、猛禽類のような鋭い目。


「本気の一撃、行くぜ」


 廻の半透明モードが解除された。


「望むところ!」


 お互いの刀が、一際強い光を発する。薄暗かったライブハウスの全体を照らす。


 そして。


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