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悪魔と魔王の明るく楽しいデビライフ~教育係から父親(仮)になりました~ 作者:夏カボチャ 悠元
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~出逢い~始まりのデビライフ。

ーー薄暗い城の中、灯火に照らされる男。
 銀色の衣、中から見え隠れする黒い生地に細くそれでいて、引き締まった肉体、首に下げられた深紅の輝きを放つドクロ形に加工されたルビーのネックレスがより恐ろしさを香り立たせていく。

 男は扉の前に立ち深く息を吸うと肺から全てを吐き出すようにずっしりとした思い溜め息を吐くと扉に手を当て開いた。

 そんな、男の名は……

「ボルンーーッ! 約束通り勉強してたよ。偉い?」

 男をボルンと呼び扉に向かって走っていく少女。
 無邪気な表情で男の足に抱き付く姿は小動物のように愛くるしいと誰もが思うことだろう。

「嗚呼、勉強してたのは、凄く偉いぞ! だがな……いちいち抱き付くな、少しは魔王になる自覚を持てと言ってるだろ、ニムル?」

 そう(たしな)められる少女、元魔王の娘であり、名を“ニムル=カリグレム”

 今は亡き大魔王カリグレムの愛した愛娘である。

 見た目は幼い少女、瞳は鮮やかな赤色で肌は汚れを知らぬ程に白く透き通り、薄い赤色の髪が腰まで伸ばされ、優雅に舞い踊るようにニムルの動きに合わせ靡いている。
 一目では魔族だと分からぬ程、あどけない少女は3年前から、成長が停止している。

 3年前……魔王カリグレム討伐作戦
 ……世界は無意味な魔王討伐を決めると、幾千日の月日と共に魔王カリアグレムを世界から葬り、魔界の全てを焼き付くしたていった。

 魔王カリグレムは最後の力を振り絞り覚悟を決め、プライドを捨て去り一人の悪魔を召喚する。

 激しく燃え上がる魔王城の中に青黒い煙が立ち込めると緑の焔が天井まで舞い上がり、一瞬で人の形を成していく。

 まるで時間が停止したような静けさが魔王カリグレムのみ為らず、人間達の動きすらも停止させるようにゆっくりと刻まれた一瞬であった。

「随分とボロボロじゃないか、アンタ、ヤバイのかい? 助けてやろうか」

 そう口にするニヤけた悪魔こそ、ボルンであった。

「なぁに、どうせ先の短い命だ。助かろうなどと足掻く気は無い」

「魔王カリグレム、なら、何で俺を詠んだ? 悪魔を召喚するだけで、かなりの寿命を削るのによう? まさかマゾって訳じゃないだろ」

 魔王カリグレムはある願いを悪魔に託す為に寿命を削り召喚たのである。

「相変わらず口の減らない最悪な悪魔だな。お前は……だが、何よりも信用できるのは悪魔との契約だ。欲しがっていた私の魂をくれてやろう……」

「契約の条件はなんだ? 魔王が悪魔に寿命ではなく、魂を捧げるんだ先に確り聞かせて貰いたい」

 そう語る悪魔ボルンは時価稼ぎのように人間と魔王カリグレムの間に巨大な壁を作り出す。

 壁の向こうから鳴り響く、壁を叩く音、それは人間達が我に返った証拠であり、壁も長くは持ち堪える事は不可能で在ろう事を伝えるように激しく叩かれ続けている。

「私の望みは……娘のニムルを魔王に……」

 力なく、伸ばした腕が床に雪崩落ちる。

「チッ、魔王さんよ。約束は魂を貰わないと果たせないんだぜ……代わりにアンタの体を頂く。契約は成立だッ!」

 ボルンはそう言うと壁を消し去り、人間の観ている目の前で魔王カリグレムの体を小さなドクロのルビーに代えた。

「悪いが(魔王)は俺が頂く。そう言う契約だからな」

 人間達の返答を待たずしての姿を消したボルンはニムルの部屋に移動するとニムルを眠らせ、拐うようにして魔界を後にしたのである。

 ボルンは地上にある自身の古城にニムルを連れ、舞い戻ると待ち構えていた一人の女悪魔にニムルを託した。

「ボルン様、とうとう幼女の誘拐にまで手を染めたのですか?」

「違うから、たく! 分かっててからかう様な発言をするなよ。アイズ」

 ボルンからニムルを受け取った女悪魔はアイズ。
 スラッとした体型に短い紫の髪、全身に100以上の目が付いた悪魔、必要に応じて開かれる目の数だけ力を開放する。
 普段は薄い長袖に超ロングのスカート姿を好み、自称平和主義者を語る悪魔である傍ら、好き嫌いが激しく『敵に対しての情けは微塵も持ち合わせがない』と語る二重人格のような性格をしている。

 二人の関係は多種族の夫婦であり、種族の違いから子供は居ない。
 ボルンがニムルを助ける事にした理由であり、幼い少女をみすみす殺される様な危うい状況に置いて置けなかったのだ。

 ソファーに寝かされたニムルが自然と目を覚ますと青ざめた表情で目の前の悪魔を直視している。

「わ、私は美味しくありません!」

「食わねぇよッ!」

 ニムルは自身の状況を拐われただけだと考えていた。魔王の娘であるニムルは過去にも拐われた事があり、幼いながらに冷静であった。

「私を帰して、今なら御父様も許してくれますから、私も一緒に謝ってあげるし!」

 しかし、幼い少女に真実を語ることになり、その残酷さを知ることになるボルン。

 父親である魔王カリグレムの死を聞き、大きく見開かれた瞳から流れ出す大粒の涙。

 涙から始まる生活……

「おいッ! お前は泣くだけで気分が晴れるのか? お前は父親である魔王カリグレムは立派にお前を俺に託したが、泣き虫の餓鬼が未来の魔王だと考えたら、カリグレムも浮かばれないぜ」

「泣いてない……泣いてないもん。魔王になるんだから、泣いて……ない」

 その姿にアイズがボルンの後頭部を目掛け、“パチンッ”と叩く。

「悪かったな、お前の気持ちも少しは考えるべきだったな」

 対応に困った表情でそう語るボルン。

「お前じゃないよ、ニムルだよ……」

 勇気を振り絞ったのか、スカートを“グッ”と、掴む手が小刻みに震えている。

「俺はボルンだ」
「私はアイズね」

 その日から、不器用な悪魔と明るい悪魔は魔王の娘との生活がスタートする。

 未来の魔王へと成長させる為に……
▼作品紹介▲ 少し切ない……食人鬼と竜のお話 邪竜ノ巫女の転生録不定期更新中。 小説家になろう 勝手にランキング ☆作品紹介☆ 異世界ハチャメチャ!!チートライフ 『楽しくて異世界☆魔獣使いのチート生活☆なのに……ワタシの使い魔は可愛くない……』 ツギクルバナー

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