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聖騎士マーク物語  作者: 海埜 ケイ
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憂鬱の種


 目が覚めると、いつもの白い天井がそこにあった。

 マークは手の平で額を撫で目を擦り、ゆっくりと起き上がる。

 消毒の臭いが鼻につき、すぐに救護室だということがわかった。

敷居代わりのカーテンを開けて部屋の中を見回すが、担当の先生や他の患者の姿はない。

 マークは窓に近づき外を見ると、まだ明るい青空が広がっていた。

運動場がここから見えるが、ほとんど人が残っていなかった。


「また、気絶しちゃったなぁ」


 呟くと、マークはベットの毛布を綺麗に直し、掛け棒にかかっていた上着を羽織ってから部屋を出た。

 いつも練習は最後まで残っていようと思っているのだが、なかなか上手くいかない。

素振りの後の練習試合では、先輩たちの剣の太刀を受けたり、交わしたりするだけで精一杯で、とても一太刀浴びせる事は適わなかった。

 いつも、こちらの体力が先に尽きてしまい、気を失って救護室へ運ばれるのが毎度のパターンとなっている。

 親衛隊の訓練は、各々の仕事上の関係により参加できる日のみ参加するという個人スタイルとなっている。

マークも毎日訓練に参加したいと思っているのだが、業務上の問題で三日に一度のペースでしか参加ができなかった。


(ルウ様の勉学の資料作成に、ルウ様のお守りに、ルウ様専用の日誌とシルイド隊長への報告書作成。……前者が明らかに時間が掛かるからなぁ)


指折り数えて、訓練に参加できないか計算するが、どうしても時間を割くことができない。

勿論、訓練に参加できない日は朝晩を使い自主連はしている。一刻も早く先輩たちと一緒に最後まで訓練をやり通したいからだ。

マークはグッと拳を握り締めた。


(……まぁ、訓練の事は取りあえず横に置いておいて、今はルウ様のことだな)


救護室のある棟を抜け、朝も通った回廊を進む。

まずはあの門番を何とかしなくてはいけない。マークは腕を組んで考えた。

 一番手っ取り早いのは、男子禁制を主張するのなら侍女に変装すれば良いことなのだが、あまりやりたくない。バレた時の恥ずかしさや、男としてのプライドがそれを許さない。


(やはり交渉しかないか)


 マークは長い溜め息を吐き、重い足取りで再び門番の元へ歩いていった。




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