表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖騎士マーク物語  作者: 海埜 ケイ
5/31

ルウを探して ~2~


「ヘクシッ! っ誰か噂でもしているのでしょうか? それとも、僕も風邪を引いたのかもしれませんね」


 一人愚痴るマークは鼻を啜りながら、回廊を抜けた。

 そこには綺麗な草花や生い茂り、多すぎない程度に木々も生えていた。ここは城の中央にある中庭で、城から後宮へ行くには必ずここに出ることになっている。

 マークは石の道を進み、足を踏み外さないように気を付けた。

 ここに生えている花々は王妃様たちの紋章とされ、王は木々、その子供たちはハーブや薬草を紋章としている。

 もし、石から一歩、足を踏み外せば、王族への冒涜とされ、即刻死刑になると言われている。

 真偽は定かではないが、気をつけなくてはいけないことに変わりはない。

 マークは上手く進むと、後宮へ続く門が見えた。

 当然のことながら男子禁制のため、女性の門番が二人立っている。マークは息を吸って吐き出してから、門へ近づいた。


「何者だ」


「むっ。その格好は親衛隊のようだが、何用でここへ参った」


 同じ顔を持つ二人の門番は間髪入れずに言い放った。マークは少し気押しされたが、自分はルウに勉強を教えるためにここに来たのだ。邪な考えを持った者では断じてない。そう思い、拳に力を入れながら、胸に押し付ける。


「ぼ……私は親衛隊所属、マーク・シアルファと申します。本日、ルウリアナ王女の勉学を見るために、お部屋を訪ねたのですが、ご本人様がそこにはいらっしゃらなかったため、途方にくれていたところ、侍女からルウリアナ様はラティナシア様の元にいると聞き、ここに参上したのです。開門を」


「ならん!」


「そのことが真であったとしても、ここは男子禁制! 立ち去れ!」


 睨みを利かす二人に、マークは要求を下げた。


「では、ルウリアナ様をここにお呼びください。そうすれば、別部屋で勉学を……」


「ならん!」


「どこぞの馬の骨と、ルウリアナ様を二人きりで部屋に入れるなど」


「「汚らわしい!」」


 ハモらせて言い切る二人に、マーク頬を掻いた。

 アンリの話を聞く限りでは、ルウはこの先にいると言う。しかし門番がここを通してくれない上に、ルウも呼んでこないと言う。

 これでは王の命令に逆らっているのと同じことだ。

 どうしようかと、悩むマークの耳に遠くから鐘の音が聞こえた。


「! まずい。もう練習の時間だ」


 走り去るマークに門番は細く笑い、「「二度と来るな!」」と叫んでいた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ