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聖騎士マーク物語  作者: 海埜 ケイ
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任務の道中4


 まだ、日が昇っていない頃、マークたちは山を歩き始めていた。

 昨晩、よく眠れなかったのはマーク一人ではないらしい。昨日と比べて、ギランとマギストも、足取りが重い。

 だが、少し早めに出発したおかげで、ようやく一つ目の山を越えることに成功した。


「やっと、四分の一か」


「頑張ったなあ」


「そうですね」


「いや、まだ二日目だぞ。まだまだ頑張ってはいないだろう」


 マギストとマークの言葉を、ギランは一刀両断にする。

 マギストは一瞬、ムカッとなるが、そこで押しとどめた。さすがに朝から体力を減らすのは利口ではないと悟ったのだろう。

 舌打ちで終わらせるマギストに、ギランは一瞬だけ驚くが、すぐに仏頂面に戻り、地図を広げた。


「! まずいな。今日、登る山には山賊が出るらしい」


「山賊!」


「山賊」


 驚くマークと、笑いを隠さないマギスト。ギランは地図から、顔を上げて二人に聞く。


「迂回するか、山を登るか、どうする? ちなみに迂回するにも日数が嵩むため、食料の問題が出てくる。俺は迂回を進めるがな」


 旅の鉄則の二つ目の項目である。無駄な危険は避けて通れるのなら、避けるべしだ。しかし、それでは予定より少し遅れてしまう。なるべく早く帰りたいと思っていたマークにとっては誤算である。


「私は、山を登るべきだと思います」


 誤算だったのか、ギランは信じられないことを聞いた、という風にマークを見た。マギストは声を出してゲラゲラと笑う。


「ただの優等生のお坊ちゃまかと思えば、面白いこと言い出すんだなお前。俺様も山を登るぜぇ。山賊さんと一悶着したいからなあ」


 マギストはマークの肩に腕を乗せてきた。同志が見つかったと喜んでいるらしいが、マークはマギストとは違う意見だ。

 半眼で睨むギランに、マークが弁解を言おうとしたが、すぐに背を向けられてはなすタイミングを逃してしまった。


「分かった。どうなっても、俺の責任じゃないからな。小僧、お前の責任だ。いいな」


 有無を言わさない物言いに、マークは分かった。と、深く頷きながら同意した。

 ギランはマークを先に行かせて、一行のリーダー的、位置を譲った。

 マークは何も言わず、それに従い、前に進みだした。


 


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