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プロローグ かつて聖女と呼ばれた魔女は、
かつて王国が隣国に攻め入られ、危機に瀕した時のこと。
村娘が一人、魔女として軍に志願した。
「これ以上私のような想いをする人が出ないように、戦いを終わらせます」
そう願った少女は最前線で友を支え、敵をなぎ払ったとされている。
少女が立つ戦場には、一度の敗北も生まれない。
少女は数々の勝利を国にもたらし、ついには救国の聖女として国民から崇拝された。
しかし、彼女のその後をしる手立ては存在しない。
聖女はある日、忽然と姿を消したという。
その際には置き手紙の一つさえ、なかったという。
ゆえに聖女のその後は、何も記録に残っていない。
そして魔女という術者が世からほとんどいなくなった、四百年が経った今。
彼女のその後は、やはり誰もしることがない。