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《メリーさんの〇〇〇》

作者: 山菱 鶲

『私メリー。今から、貴方のおうちへ向かうの』


ある日こんな電話が来た。少なくなった食べ物を補充するためにネット通販で注文した2分後のことである。


「この文言…まさにメリーさんの電話だな。親父が学生の時に一度流行ったらしいけど…」


最後のカップラーメンをすすりつつカタカタカタっとキーボードに文字を打ち込む。


「えーっと…〝メリーさんの電話〟は怪談系都市伝説の一種で、捨てられた人形が自分を捨てた少女の元に電話をかける…なるほど」


調べてみたところ、メリーさんの電話とは元々は捨てられた人形の話で、「私メリーさん。今、ゴミ捨て場にいるの」という電話から始まり、その電話の相手の家へ電話をしつつ近付き、最終的に「私メリーさん。今、貴方の後ろにいるの」という言葉を持って締めることで恐怖の余韻を演出するものらしい。なるほど、勉強になるな……と、電話だ。



『私メリー。今、貴方のおうちの最寄駅にいるの』



結構近付いてきたな。まぁいいや。調べ物の続きをしよう。


えーっと…?バリエーションとしては、最後の言葉のあとに振り向いたら殺されるという恐怖を煽るものから、住んでいる階が高すぎてメリーさんが疲れすぎて倒れるものや電話をまったく気にせずに出掛け、後ろをメリーさんが泣きながらついていくもの、メリーさんが家をそのまま通り過ぎた挙句に1年後に「今、ロシアのハバロフスクにいるの」と手紙をよこすなど様々なものがあるようだ、と。ふーん…って、いやいや、様々過ぎだろコレ…『地下鉄を乗り継いでくるものの駅で迷い、「ふえぇ出口どこぉ(´;ω;`)」と泣きながらに電話を入れてくる』とかなんだよただのほっこり話じゃねえか。テレビを見るのに邪魔だって一蹴される話とかなんで最後メリーさんを膝に乗せて一緒にテレビ見てんだよ。都市伝説ってなんだよ。オタク怖えな。俺もだが。




『私メリー。今、コンビニの前にいるの』




こう考えると怪異怪談妖怪その他が〝存在しないもの〟として扱われてたとは思えないなぁ。本当に遭遇した人がいそうな感じだ。まぁ実際遭遇したことある人は結構いるんだろう。もしかしたらそれと知らずに会ってるかもしれないな。俺は今まさに電話きてたわけだし。





『私メリー。今、エレベーターをよんでるの』




電話きてたというかめっちゃ下にいるわ。

取り敢えず髪の毛整えておこう。服は…まぁいいや。よし、準備はオーケー。さぁこい。



『私メリー。今、貴方のおうちの前にいるの』




来た!



ガチャリ、とドアノブがまわり、ドアが開かれる。




そして───


















「私メリー。荷物のお届けに来たの。印鑑はここなの」



「あ、はい。どうもです」



食料届きましたー!これで勝つる!



───────────────────────────



メリーさんは代金を受け取った後、普通に帰って行った。代金と一緒に飴を渡したけど、結構嬉しそうだったな。またなんか買う時はあそこに頼むことにしよう。めちゃくちゃ届くの早いし。うん、カップラーメンが美味いぜ。

《メリーさんの宅配便》

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