16〜竜と少女〜
「此処がそうにゃ」
「此処って」
「そう、一度来てるにゃ」
チェシャ猫に連れられてきた場所は前に助けられた老婆と少女が住む家だった。
「じゃあ、あの娘が…」
「また会ったね、お姉さん」
アリアが屋根の上に座っていた。
「その様子だと私が何者が知ったみたいだね」
「やっぱり、貴女もアリス」
アリアは微笑んだ。
「そうだ、お姉さんは知っている?アリスを殺す方法」
「知らないわ」
「ならミルワールの館に行けば分かるらしいよ」
「なんでそんなこと教えてくれるわけ?」
「私はね、このゲームに参加しているけど勝つつもりはないの」
「その言葉を素直に鵜呑みに出来るほど私は甘くないわ」
「普通は誰しもそうだよね、でも決めるのはあなただから」
アリアは立ち上がった。
「ミルワールの館はエピーヌの森の西にあるよ」
突然、アリアの立つ家が崩壊し、辺りに突風が渦巻いた。
「…何?」
そして、ノワールは上を見上げると大きな黒い影がアリアと共に飛び去るのが見えた。
「ドラゴンだにゃ、見るのは初めてにゃ」
「この世界でも珍しいものがあったのね」
「珍しいというか、この世界自体が絶えず変化を繰り返しているからにゃ」
「そう、それであのアリスの言ってたことだけど」
「信頼出来るかは分からないにゃ」
「そうでしょうね、でも今は他にこれといって情報がないから、行ってみるしかないわね」
ノワールとチェシャ猫はアリアの言っていたミルワールの館に向かった。
「あれで良かったのか?」
ドラゴンは空を飛びながら背中に乗るアリアに口を動かさず、アリアの心中に話し掛けた。
「このゲームが終われば、私の願いも叶うから」
アリアは遠くを見つめながら言うと続けた。
「レギオス、帰ろう」
ドラゴン、レギオスはアリアを連れて飛び去った。




