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第5話

第5話


 今日の天気は快晴。

 絶好の試合日和だ。

「いい天気だぜ。天気が悪いとテンションが下がるからな」

 ゲイルは練習用のフラットソードを鞘から抜いた。

「へへ、腕がなるぜ」

「相変わらず試合になると元気が出るなお前」

 軽いプレートアーマーをつけながらアルスは笑った。

「あったり前だろ。練習だと教官が横槍を入れてくるから嫌いなんだよ。試合なら自分の好きな型で勝負できるからな」

 確かにゲイルの言うことも一理ある。しかし、この武術学校に入学して晴れて卒業をすると、レスミール王国騎士団の騎士採用テストに面接なしの実技のみで挑める資格を得られるためお得なのである。その実技試験のときに型どおりの試合ができることが騎士団に入る条件のひとつにあげられているというわけである。

「別に俺はここの騎士団に入りたくて剣術をやっているんじゃないんだけどな〜」

 ゲイルがぶつぶつとぼやく。

「まんざら悪いものでもないだろう。型どおりにやれば、少なくとも自分のミスで被害を受けることはないし」

「しかし、鞘を抜くところから普通訓練するかぁ?」

「必要だからするのだろう。ま、俺も正直あまり必要だとは思っていないけど」

 ついつい本音が出てしまう。ゲイルが嬉しそうに「だろぉ?」と笑う。

「今日こそはそれを教官どもにわからせてやるぜ!」

 先にアーマーをつけ終わったゲイルが颯爽と更衣室を去っていった。

(わからせてやったとしても、それで教え方が変わるとは思えないけどなぁ)

 アルスはそう思いながらも、熊の召集が掛かっているのを聞きつけ急いで支度を整えた。




 熊、もとい審判員である武術教官の召集を受け、アルスたち生徒は円形闘技場を模した小さな広場に集められる。主に試合と名のつく儀式を行うときは試験や練習試合であってもここを使う。

練習試合とはいえ、観客席は満員御礼である。その中でもひときわ目立つ集団がある。夏が来るにはまだ少し時期が早いが、それでも厚手のローブを着ているのですぐにわかる。あれはここ、レスミルス武術学校と対を成すレアドナール魔法学校の生徒たちだ。この二校はよくチャラチャラした者たちが――もちろんそうでない者もいるが――合コンだのを設定したりしていてそれなりに生徒同士の友好関係は深い。そのため、自分の彼氏や友人を応援に来る女子がここに来ているのだろう。ゲイルに言わせると「ケッ、くだらねぇ」らしい。

「そういえばトーナメント表をまだ見ていなかったな」

「そうだった」

 アルスとゲイルはベンチの後ろに貼ってあるトーナメント票に目をやった。二人は見事に違うブロックに属されていた。

「まぁ、気張らずにいこうぜ」

「ああ。どうせこの試合も何十回目かわからないしな。いまさら緊張なんてしないぜ」

「それもそうか。そんじゃ、決勝で会おうや」

「途中でしりもちつくなよ」

「途中で逃げるんじゃねぇぞ」

 アルスとゲイルの間には熱い火花が飛び散っていた。

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