横
サラにとって人を殺すのは楽だ。
だが、心はそうさせてくれない。どうしても急所を外してしまう。
しかも相手はバイクに乗っている。
「くそっ!」
一番奥、撃っても弾かれるのが2人。誰かは分かる。
APW No.11とNo.10
市街地でパニックは広がっている。
横をみると何人も人が逃げ…
ブゥゥン…
銀の車が11と10に向かって走る。
「やめなさい!」
一般人が車で何ができる?
「バーカ」
11が笑う。11は水銀を使える。水銀を腕にして、車を掴み上げた…はずが、車はそこに無かった。
あったのはロボットと車の"皮"だけだった。
ローラーで横向きに進んだそれは、臨戦体制に10が成るより先に地面に叩きつけ気絶させた。
「なによ!」
11が攻撃をかけるも、弾かれて遠くに投げられた。
「貴方何者?」
「私か?」
銀のロボットが答える
「サイドライドだ。元軍人で、死に掛けて応急処置で人型戦車に脳を移植したら脳が定着しちまった。今じゃ車の振りをして生活さ」
「大変ね。」
「ココは私にまケせろ。」
「まけせろ?」
意味が分からない事を言ったので聞くと、
「あー、言語を話す機能がちょいと壊れていてな、"ケ"ん?あー あー"ケ"!あーもう…
ケ、ケ、カ、おお出たぞ。"ケ"あぁくそっ!」
「分かったわよ。」
どうやら"カ"の音が、"ケ"になってしまう様だ
「"まかせろでしょ?」
サイドライドは黙って頷いた。
「分かったわ。」
「横から入るわサイドライドだけに。」
ハイテッククラウン社本社ビルは目の前だった。