あなたの笑顔がだれかの笑顔になる
笑顔って見ていて幸せになります。
知らない人でも笑っていたら、こっちまで嬉しくなるときがあります。
優しい人を見たら、幸せになります。
こんな人もいるんだな、と。
でもそんな人はなかなかいなくて。
そんな人になりたいなと思うだけで実際はどうにもできなくて。
だからか
逆のことをするようになった。
優しい人になりたいのに、笑顔にさせたいのに、
怖い人になり、怯えてる顔にさせてる。
そんな自分に嫌気がさして、でもどうにもできなくて。
またひとりになった。
最初にひとりになったのは逆になろうと思ったとき。
逆になったらなったで自分に似た人がそばにいた。
でも似た人がいるのが嫌だと思ったら、
またひとりになった。
ひとりは慣れている。大丈夫。こんな明るい世界でこんな暗い私がいても誰も気にしない。
気に留めない。寂しいなんて思ったらもう……
最近よく見かける子がいる。誰も見えてないかのような存在だけどそこにいた。
女の子で誰かを待っているのかと思ったけどそんな素振りはなく、ただなにかを見ていた。
仕事帰り。ここ最近はなにかと忙しく最寄駅に着くころには、0時を過ぎる。
今の仕事に不満とかないが、普段より長い勤務時間にそろそろ疲れがピークに達していた。
そんなときに
見えた
いた
いつもと様子が違う気がする。
ん……?
泣いている?
その子は目から出ているものを何でもないもののように拭いもせず、またなにかを見ていた。
なにもせずなにもいわないその子に俺は
「どうしたんだい?」
と声をかけてしまった。
その子はいきなり声をかけた俺に驚きもしないで
ゆっくりと俺のほうを見て
「なんでもない」
そう呟いた。
その顔はなにかを諦めたような感じがした。
笑っていたけどこんなにも諦めたような悲しい笑顔を俺は見たことなかった。
だから。
そんなに若いのにそんな顔をしないで欲しい。
「俺さ。河嶋奏っていうんだ。最近仕事が忙しくてさ、帰り遅いんだよね」
何を言おうとしてるんだ俺は。
「家に帰ってもひとりだし、寝たらまた仕事があるから……
よかったら仕事終わりにここ来てもいいかな」
にやにやしながら言うなんて……不審者だなぁ
声かけた時点で普通おかしいよな
少し間があって
「いいよ」って。
それだけ答えてその子はまたさっきまで見ていたとこに顔を戻した。
変人だとか思わないのかな?
いやまぁそう思われるのも嫌だけど……
「私、恵真。そう呼んで」
「あっ、うん。恵真ちゃんだね。よろしく」
「奏さんって笑顔が素敵だね」
はぃ?
「そんなこと初めて言われたよ」
笑顔が素敵とか……歯並びは綺麗とかならあるけど。
「そう?私がそうなりたかった笑顔だよ」
「こんな笑顔でいいならあげるよ」
ふふっ、と恵真ちゃんが笑った。
「笑顔くれるんだ。そんなこと言う人初めて見た」
こう……
なんていうのかな。
顔がくしゃってなる笑顔。
優しい笑顔。
あんな悲しい笑顔してたのにこんなに優しい笑顔になれるじゃん。
「そうだ。いい事をおしえてあげよう」
キョトンとした顔でこっちを見る恵真ちゃん。
「笑顔って伝染するらしいよ。誰かが笑うとね、嬉しくなって自分も笑顔になるんだよ。だから恵真ちゃんが笑ってると誰かが嬉しくなるよ。たとえば……俺とか」
にこっと笑って言ってみたら、思いのほか恥ずかしいことをいってしまったらしく恵真ちゃんは顔を真っ赤にしながら笑いをこらえてた。
「我慢してないで笑いなよ。こらえられるほうが恥ずかしいんだよ」
ふふ……あははっ
はははっ
きっとこの世界も笑顔があれば幸せになれる。
あなたの笑顔が誰かの笑顔になる。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
2作目です。久しぶりの投稿です。
下手な文章で読みづらい、伝わりにくいなどあるかと思いますが、申し訳ございません。
本当にありがとうございました。