人形のラン
掲載日:2026/01/13
「ママ、おかえりなさい」
「ただいま、ラン」
「わたし、待っていたよ」
「いい子だね」
「えへへ」
「なにしようか?」
「ママの話が聞きたい!」
「いつもと同じでいいの?」
「うん!」
「……ごめんね、ラン。もう行かないと」
「わたしも連れて行って。お願い」
「ランは連れて行けないの」
「いやだ。ママと、もっと一緒にいたい」
「また来るから、待っていて」
「次はいつ来てくれるの?」
「わからない。でも、また来るからね」
「ママは、わたしを捨てないよね?」
「いい子にして待っていて、ラン」
「……わかった」
「じゃあ、行くね」
「寂しい。いやだ。捨てられたくない。いい子でいなくちゃ。今度のママは、わたしを捨てない。きっと大丈夫。最後のママになってくれる」
「ねぇ、お母さん」
「どうしたの?」
「ランのことなんだけど」
「親戚の人から貰ったお人形?」
「うん。もう、いらない」
「名前つけて遊んでいたわよね」
「だって、生きているみたいに話すの。あたしのことママって呼ぶんだよ。あたしはランのママじゃないのに」




