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晴海音凪

※音凪と透真 高校生


(今日、透真はアルバイト……)


放課後。

一人養護施設まで帰宅する音凪。


駅前を通り過ぎようとしたとき、ふとあるお店が目に入った。


(ラーメン屋さん……)


いつもなら気にかけないというのに、なぜかその日は目が向いた。

そして、


「!!」


音凪は店頭に貼られたポスターを見て、垂れ目を大きく見開いた。


(……次のお休み、透真を誘ってみよう)


***


「透真」


金曜日の夜。

二人は共有スペースでまったり過ごしていた。


「ん?」


「明日、ラーメン屋さんに行くの……どうかな?」


「アルバイトの前に」

続けた音凪に、透真は頷いた。


「行くか。ラーメン」


「!」


音凪の顔がぱっと綻んだ。


「……でも珍しいな。音凪が外食に行きたがるの」


透真は、音凪の反応に口元が緩みそうになるのを堪えて尋ねた。


「ふふっ、実はね——

100円で食べれるお店、見つけたの」


「……100円?」


透真は眉を寄せ、思考を巡らせた。


不味すぎて不人気の店の話題作り系か?

それとも挑戦系か?

何にしても、普通のラーメンではない気が……。


しかし、うれしそうに笑う音凪に、透真は何も言うことはできなかった。


(……明日確認したらいいか)


「楽しみだな」


「ふふっ。 うん」


透真は音凪を見つめ、静かに微笑んだ。


***


「ほら、透真見て」


翌日。

ラーメン屋の前で、音凪がポスターを指差した。

そこには——



「『激辛ラーメン 食べ切ったら100円』……」



「スープも飲んだら、無料だって」


何事もないように、けろっと続けた音凪に、透真は言った。


「……俺は、普通のラーメンの気分かな」


「えっ、そうなの?」


ポスターの写真には、真っ赤に染まるスープに、糸唐辛子や粉末の唐辛子がふんだんにかけられている。


(こんなの絶対食べれねー)


音凪は、眉を落として「そっかぁ……」と呟いた。

そしてちらっと、メニュー看板を見る。


「他のところに行く……?」


他のラーメンは、どれも千円以上。

透真の財布事情を慮って、音凪はそう提案した。


「いや、入ろう」


「えっ、でも……」


戸惑う音凪に、透真はメニューをそっと指差した。


「これとか気になるし」


透真が指差したのは、背脂たっぷりの醤油ラーメン。

音凪は、透真も食べたいものがあるならと、しょんぼりしていた表情を和らげた。



「……お会計、半分にしようね」



「半分ならひとり725円だよ」


「スープも飲めば、675円」

にこにこと笑って話す音凪に、透真は苦笑いをした。


(完食は前提なんだな……)


透真は誤魔化すように、

音凪の頭をぽんっと撫でた——

〜おまけ〜


音凪は『1,350円』と書かれた会計済みのレシートを見て呟く。


「お会計、半分って言ったのに……」


「……」


透真は黙って財布をしまった。

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