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観察者A-その1-

※高校生/会話主体


これは、とある男子高校生Aの観察録。


A「晴海を落とすには、プライドを捨てる覚悟と日比谷を倒す覚悟が必要だ」

B「何それ」

A「俺は小学生の時からあの二人を見て来た。

 晴海に近づいた男は晴海自身の鈍さにプライドを折られるか、日比谷の圧に負ける」

B「日比谷なんて無視すりゃいいじゃん」

A「そう簡単な話ならいいが……な」

B「……」

(なに格好つけてんだこいつ)

A「日比谷は晴海のこととなると見っともない。——だがしかし! 仮にもあいつはイケメンだ。

 頭も運動神経もいい。

 晴海に対する態度もあって、逆に親しみやすさもある。

 だろ?」

B「まあ……」

A「そんな日比谷でも落とせないのが、晴海音凪という女だ。

 ……あいつは——やべーぞ」

B「……例えば?」

A「前に晴海に告白したやつがいたんだが……」


〜回想〜


男子生徒「好きです。付き合ってください!」


音凪「……?」

(この人、誰だろう。

 話したことない人……だよね?)

透真「あれ? 音凪。こんなところでなにやってんだ?」

男子生徒「あっ……」

音凪「透真……」


透真の視線が一瞬だけ、男子生徒に向いた。


透真「……話し中?」

男子生徒「あっ、あっ……」

音凪「えっと……」


音凪は困った表情で男子生徒を一瞥したあと、

透真の耳元に近づいた。



音凪「たぶんね——『人違い』だと思う」



音凪は声をひそめたつもりだったが、

静かな廊下に、その声は響いてしまった……


〜回想終了〜


A「という事があってな」

B「おお……」

(かわいそうに)

A「日比谷を越えても、当の晴海も手強い。

 プライドは折られる覚悟で行かないとダメだ」

B「でも、プライド云々で何とかなるなら、既に日比谷が落としてんじゃねえの?」

A「折られてもうまくいくとは限らない。折られるのは最低条件だ」

B「なるほど」

A「そして、あいつはまだ晴海の前では格好付けてる。

 ——だからダメなんだよあいつは」

B「あー……」

(あれでまだ格好つけてる方なのか)


Bは、ひっそりと透真を憐れんだ。


〜おまけ〜


透真「音凪」

音凪「どうしたの?透真」

透真「今日はバイトは……」

音凪「なしになったよ」

透真「!」

音凪「ふふっ(わんこみたい)」

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