第62話 小さな変化の日々
美玲が朝起きた瞬間、少し顔色が優れないことに気づいた。
「大丈夫…?」颯真は寝室で隣に座り、そっと手を握る。
「ん……ちょっと気持ち悪いかも…」美玲が弱々しく吐き気をこらえながら答える。
「分かった、今日はゆっくりしてていいよ。何か飲む?」颯真は冷蔵庫から水を取り出す。
二人の生活は、結婚してからまだ1年も経たないが、秘密の愛を経て築かれた穏やかな日常があった。
朝食は颯真が作り、オレンジジュースとトースト、スクランブルエッグを用意した。
美玲は弱った体で「ありがとう」と微笑む。颯真はその笑顔を見て胸が温かくなるのを感じた。
「仕事は大丈夫?」美玲が心配そうに聞く。
「うん、今日は総務部で少し面倒な書類整理があるだけ。午後は打ち合わせもあるから早めに帰るよ」颯真は笑顔を作る。社会人1年半を経て少し余裕も出てきたが、家族として支える責任は大きい。
会社に着くと、同期の佐々木啓太、木下翔太、藤原航、松田悠人たちが既にオフィスで作業をしていた。
「おはよう、颯真くん。昨日の会議、よくまとめてたね」と啓太。
「ありがとう。でもまだ修正点多いんだ」颯真は微笑みながら応える。
午後には後輩の村瀬翼、赤井美波、進藤あかりが颯真のデスクにやってきた。
「颯真先輩、今度の書類、確認お願いできますか?」翼
「もちろん、あかりちゃんも一緒に見よう」颯真は優しく後輩たちの書類を確認しながら丁寧に説明する。
「先輩、いつも仕事が丁寧ですよね」美波が感心して言う。
颯真は少し照れながら「いや、でも君たちも慣れてきたから助かる」と答えた。
その間、美玲は芸能活動でのやり取りを電話で済ませていた。
「先日のリハーサル、演技の表現力が素晴らしかったです」女優仲間の声
「ありがとうございます。でもまだまだ課題はあります」美玲は謙虚に答える。
さらに元宝塚の先輩から電話が入った。
「美玲、舞台の立ち回り、しっかり見てたよ。観客に届く演技だった」
「先輩、ありがとうございます。頑張ります」
「くれぐれも健康第一だよ。あなたのファンもずっと応援してるからね」
芸能人の友人からもメッセージが届く。
「最近の舞台、映像で観たけど、さすが美玲さん!」
「ありがとう。次の撮影も頑張ります!」
夕方、颯真は会社を早めに切り上げて帰宅。
「ただいま」颯真の声に美玲は微笑む。
「おかえり。今日も仕事疲れたでしょう?」
「君のためならどんな疲れも忘れられるよ」颯真は優しく肩を抱く。
夜、二人は抱き合いながら眠り、明日への希望と小さな不安を分かち合った。
秘密の愛から始まった二人の生活は、今、新しい命の気配とともに確かな温もりを増していた。
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