第41話 新しい道へ
三月下旬。
大学の講堂に、卒業式を祝う華やかな拍手が響いた。
胸に袴をまとった女子学生やスーツ姿の男子学生が並び、一人ひとりが壇上で卒業証書を受け取っていく。
その中に混ざって名前を呼ばれたとき、僕――篠原颯真は、不思議な実感に胸を満たされていた。
――四年間、あっという間だった。
友人の佐伯悠真が大声で「颯真、やったな!」と肩を叩き、西条蓮司は「社会人になっても飲み会誘うからな!」と笑う。
高村直樹は相変わらず真面目に「お互い頑張ろうな」と握手を差し伸べ、相原美咲や杉浦紗奈は「社会人になっても忘れないでよ」と涙ぐんでいた。
別れの言葉と笑顔、そして涙が入り混じるその光景に、胸の奥が熱くなった。
――もう、学生ではない。これからは社会人として歩んでいくんだ。
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思い返せば、就職活動は決して楽ではなかった。
何度もエントリーシートを書き、スーツに身を包んで面接に挑んだ。
「君は何を目指しているのか」
「この仕事でどんな未来を描いているのか」
面接官から投げかけられる問いに必死で答えるたび、社会に出る重みを痛感した。
そしてある日、メールが届いた。
件名――「内定通知」。
その瞬間、胸の奥にずっと抱えていた不安が弾け飛び、机に顔を伏せて涙が滲んだ。
美玲さんにもすぐに報告すると、彼女は舞台の合間に「本当におめでとう! あなたなら絶対にできるって信じてた」と笑ってくれた。
その言葉が、何よりも心の支えとなった。
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四月。
入社式の日。
新しいスーツに袖を通し、緊張で汗ばむ手で鞄を握りしめながら、僕は会場のホールへと足を踏み入れた。
社長の挨拶や先輩社員の祝辞を聞きながら、改めて実感する。
――今日から、僕は社会人だ。
周りには同じ新入社員たちの姿。
誰もが期待と不安を胸に抱きながら、未来への第一歩を踏み出していた。
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その日の夜、実家に戻ると、家族がリビングで待っていた。
母・由美子がにこやかに拍手をしながら言った。
「颯真、本当におめでとう。ここまで頑張ったわね」
父・圭一は腕を組み、低い声で続けた。
「だがな、ここからが本番だ。社会は甘くない。学生気分のままじゃ通用しないぞ」
姉・麻衣はくすっと笑い、
「でも、あの颯真がここまで立派になったんだから。大丈夫でしょ?」
兄・拓真は真剣な眼差しで肩を叩いた。
「頑張れよ。甘やかされない世界だ。けど、俺たちは応援してる」
その言葉を聞きながら、胸の奥にじわりと熱いものが広がった。
――これから始まる社会人生活。
決して甘くはないだろう。
でも、美玲さんを支えるためにも、家族に胸を張るためにも、僕は前に進んでいく。
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新しい道の始まりは、不安よりも希望の光に包まれていた。
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