第33話 過密な日々、募る不安
束の間のデートから数日後。
彼女のスケジュールはさらに過密さを増していった。
冬の本公演に加えて、地方公演の準備、雑誌の撮影、テレビ番組の収録……。
毎日のように予定が詰め込まれ、彼女の声を聞く時間さえどんどん減っていった。
メッセージを送っても返事は深夜。
「ただいま」「おやすみなさい」
たった数文字の短い言葉。
僕はそれを何度も読み返しながら、彼女の疲れを想像して胸を痛めた。
⸻
大学生活は相変わらず慌ただしかった。
講義、アルバイト、ゼミの準備。
カフェのアルバイトでは、山口翔太や佐々木美優が年末商戦の忙しさに追われ、店長の桐谷や社員の森下あかりが大声で指示を飛ばしていた。
「翔太くん、注文のカプチーノはテーブル3だよ!」
「はいっ! 美優ちゃん、トレイ持ってって!」
「わ、わかりましたっ!」
バタバタと走り回る二人を見て、僕は笑いながらも「俺も頑張らないと」と自分に言い聞かせた。
けれど、仕事の合間にふとスマホを覗いてしまう。
彼女からの通知はなく、そのたびに胸が少し沈んだ。
⸻
ある晩。
ようやく彼女から電話がかかってきた。
画面を見た瞬間、胸が熱くなり、慌てて応答ボタンを押した。
「もしもし!」
『……こんばんは。遅くなってごめんね』
掠れた声。疲労が隠しきれない。
「大丈夫ですか? 声、すごく疲れてます」
『うん、ちょっとね。でも、あなたの声を聞いたら少し元気になった』
その一言に胸が震えた。
だけど同時に、不安が押し寄せる。
「……無理しないでください。もし倒れたら、僕……」
『大丈夫。私は舞台に立ち続ける。それが私の使命だから』
力強い言葉だった。
でも、その強さが彼女を追い詰めているようにも思えた。
⸻
電話を切ったあと、僕は机に突っ伏した。
会いたい。
でも、会えない。
彼女は遠くで戦っている。
僕はここで待つしかできない。
窓の外を見ると、イルミネーションがきらめき、街は華やかに輝いていた。
けれど僕の胸には、どうしようもない寂しさが広がっていた。
――また会えなくなるのではないか。
その不安が、日に日に大きくなっていった。
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