第10話 告白と誓い
その夜、僕たちは劇場近くの小さな公園にいた。
夜風に揺れる木々の葉がざわめき、遠くからは街のざわめきがかすかに届いていた。
公演を終えたばかりの美玲さんは、ベンチに腰掛けて冷たい缶コーヒーを両手で抱え、ほっと息をついた。
「舞台ってね、終わったあとに一気に気が抜けちゃうの。……だから、こうして隣にいてくれると助かる」
彼女の横顔は、舞台の上の華やかさとは違ってどこか儚げで、僕だけに見せてくれる特別な表情だった。
気づけば、胸の奥に言葉が渦巻いていた。
観覧車で口付けをしたときから、ずっと心の中で膨らみ続けている思い。
――今、伝えなければ。
「……美玲さん」
呼びかけると、彼女は驚いたようにこちらを見た。
僕は視線を逸らさず、声を震わせながら言葉を続けた。
「僕は……あなたのことが、好きです。舞台の上の美玲さんも、こうして笑ってくれる美玲さんも、全部」
夜風が一瞬止まったように感じた。
彼女の瞳が揺れ、唇がわずかに震える。
やがて彼女は小さく笑った。
「……観覧車のときも、そんなこと言ってたわよね」
「……はい。でも、もう一度、ちゃんと伝えたかったんです」
その言葉に、美玲さんは静かに缶を置き、僕の方に体を向けた。
周囲をぐるりと見回し、人影がないことを確認する。
そして、僕の頬にそっと手を伸ばした。
「秘密を守ってくれるなら……私も、言うわ」
吐息混じりの声で囁く。
「……私も、あなたが好き」
次の瞬間、彼女の唇が重なった。
それは観覧車のときよりも長く、甘く、熱を帯びた口付けだった。
彼女の吐息が僕の口内に溶け込み、背筋を震わせる。
僕は両手を彼女の腰に添え、強く抱き寄せた。
「ん……」
思わず漏れる声。
彼女もためらわず、激しさを増す口付けを返してくる。
やがて唇を離したとき、二人とも息が荒く、頬が火照っていた。
額を寄せ合いながら、彼女が囁く。
「これから先もずっと……秘密のままでいい。だから、私の隣にいてね」
僕は強く頷き、再び彼女を抱きしめた。
夜の公園に、ふたりだけの誓いがそっと刻まれた。
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