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白い空

かつて悪名高かったサンライズ盗賊団は村から逃げ出し、士気は打ち砕かれ、数は激減していた。リーダーの片目が率いる残りの団員たちは、混沌とした撤退中に集めた盗品の食料を必死に握りしめていた。


片目は森の小道を馬で進みながら、苛立ちで顔を歪めた。風が彼の傷ついたプライドを刺すようだった。彼の心は、金髪の男—まるで嵐のように彼らの隊列を切り裂いた男—との壊滅的な遭遇を繰り返し再生していた。


「くそくらえ!」彼は吐き捨て、馬の手綱を強く握りしめた。革が指の下で軋んだが、どれだけ力を込めても、内に渦巻く怒りを抑えることはできなかった。


太陽は地平線の下に沈み、草の平原を不気味な黄昏に染めていた。夜の空気は涼しかったが、グループの間に緊張が重く漂っていた。彼らは無言で馬を進め、開けた野原を神経質に目で探った。


突然、片目は奇妙なことに気づいた。草地が不自然に暗くなり、影が地面にインクのように広がっていた。それは夜の訪れではなかった—全く別の何かだった。彼は不吉な現象を認識し、心が沈んだ。


「これは…影だ…薄い…これは魔術だ。」彼は囁くように呟き、闇が聞くのを恐れるように声がかすれた。


彼の馬が嘶き、まるで空気に見えない圧力を感じて抵抗するように蹄を躊躇させた。馬は彼の下で震え、落ち着かなかった。


「ボス!これ以上進むべきじゃない!」生き残った盗賊の一人が叫び、暗くなる地平線に目をやった。


片目は答えなかった。本能が動き、彼は手綱を強く引き、馬を急停止させた。「止まれ!」彼は恐怖で鋭く叫んだ。残りの盗賊たちは従い、馬を抑えながら心配そうにリーダーをちらりと見た。


沈黙が彼らを包んだ。草を抜ける風のわずかなざわめきだけが、抑圧的な静けさの中でより大きく聞こえた。片目は地平線を睨み、片方の目が狂ったように動いた。迫りくる闇が光を飲み込み、世界を締め付けた。


「姿を見せろ!」片目は虚空に叫び、声が不自然に響いた。剣の柄を握り、額から汗が滴った。「そこにいるのは分かってる!お前が誰—何者だろうと!」


遠くから、低く響く笑い声が闇を震わせ、盗賊たちの心を凍らせた。


「人間が魔術の名を知っているとは、驚くべきことに。」


そして彼が見えた—簡素な茶色のローブをまとった若い男が、道の真ん中に静かに立っていた。だが、よく見ると間違いなかった—それは片目とその部下を壊滅させた金髪の男だった。


「お前!どうやってここに!?」片目は怒りで顔を歪め、叫んだ。


男は微動だにしなかった。軽く首を傾け、軽蔑の目で細めた。


「分をわきまえろ、クズ。」彼は冷たく言った。「俺の神殿を汚すな。」


彼が話すと同時に、姿が変化し始めた。金髪が暗くなり、漆黒に染まった。明るい青い目が薄れ、鋭い真紅の輝きに燃えた。


そして—シュッ—背中から二つの巨大な影の翼が飛び出し、生の力の脈動と共に広がった。


盗賊たちは凍りついた。誰も口をきけず、圧倒的なオーラに勇気を粉々にされた。勇気で知られた片目でさえ、恐怖で心臓が鳴った。


馬が狂ったように立ち上がり、パニックに支配された。馬は制御を失い、渦巻く影に倒れた。何人かの盗賊は逃げようとした—だが、見えない力が彼らを地面に叩きつけ、ガラスの下の虫のようにつぶした。


片目だけは別だった。


「な…何者…お前は?」片目は震える声で呟いた。


男は軽く首を傾け、唇に微かな笑みが浮かんだ。「俺?ボールドウィン・カッツだ。教会には行ったことないな?」


片目は反論したかった、何か—なんでも—言いたかったが、頭が麻痺し、言葉が指の間から水のようにこぼれた。


「そう…教会には行った…」彼は遠くを見つめる声で呟いた。「昔、兵士だった頃…ずっと前に。」


「教会に行ったか。驚くべきことに。」ボールドウィンは静かだが脅威に満ちた声で言った。一歩近づき、目がかすかに光った。「で、教えてくれ—神の怒りについて語ったか?」


「う…うん…教会で…」


彼は息を呑み、唇が震えた。


「なぜ…なぜここに?お前は魔物…なのに人間を助ける?」


「神の怒りを語り忘れたのは残念だな。」ボールドウィンは冷たく微笑んだ。「まあ、すぐ分かるさ。」


「た…頼む…助けて…」片目は震える唇で呟いた。


ボールドウィンは軽い面白がりで彼を見、首を振った。「おっと、反応を期待したが、俺の影の力がそれを難しくしてるな。厄介なもんだ。」


片目が一瞬瞬き—次の瞬間、ボールドウィンの手が彼の首にあった。真紅の目が激しく輝き、抑えた怒りに燃えた。


「無駄な時間は終わりだ。巣はどこだ、鼠?」


片目は抵抗しようとした。口を閉ざそうとしたが、今回は…何も彼に従わなかった。意志も力も、ボールドウィンの握力に吸い取られたように消えた。


「古い軍事基地…森の奥に…」彼は虚ろな声で呻いた。


「古い軍事基地?誰の?」ボールドウィンは冷たく尋ねた。


「それは…英雄王国の隠された民兵—」


言葉を終える前に、片目の目が裏返った。頭が前に倒れた。


彼は死に。


ボールドウィンは死体を見つめ、握りを緩めた。「ちっ…強く握りすぎたか。それでも、生きる苦しみよりは素早い死の方がマシだ。」彼は静かで冷ややかな口調で呟いた。


周囲で、影が揺らめき、立ち上がった。一つ一つ、片目とその部下の死体を飲み込み、まるで闇がその存在を消し去ろうとするように地面に吸い込んだ。


ボールドウィンは空っぽの野原を見渡し、独り立った。表情が変化し、遊び心が冷たい計算に変わった。


最後の影が消えると、ボールドウィンは黙って背を向けた。


数時間後、彼は古い軍事基地の外縁にたどり着いた。構造は森に半ば飲み込まれていた。


「誰だ!?」見張りの盗賊が吠えた。


「ちっ…盗賊が多すぎる。」ボールドウィンは呟き、怠惰に周囲を見渡した。


「聞こえねえのか!誰だ!?」盗賊が再び叫んだ。


「盗賊にしては礼儀正しいな。」ボールドウィンは面白がるように言った。


「俺たちは元兵士だ。今すぐここから去れ—まだできるうちにな。」もう一人が警告の目で進み出た。


「兵士から盗賊に落ちぶれたか…感動的だな。」ボールドウィンは冷たく笑った。「ただ通り過ぎるだけだ。」


その瞬間、背後から暗い影が広がり—静かな波のように立ち上がり、基地に突進し、行く先のすべてを飲み込んだ。


数秒後、影が這うように戻り、静寂と死の臭いだけを残した。


ボールドウィンは動かなかった。声は静かだった。


「ほら、通り過ぎた。」


薄暗い小屋で、オリビアは心配で顔を曇らせ、行ったり来たりしていた。なぜか、彼女の思いはボールドウィンに戻り続けていた。彼が去る前の会話を思い出し、罪悪感が彼女を苛んだ。


「なんでこんなバカなの?ボールドウィンが正しかった—村人たちは絶対変わらない。もし…彼に何かあったら?」彼女は唇を噛み、不安に思った。


突然、ドアの軋む音で思考が中断された。振り返ると、ボールドウィンが物資と食料を抱えて入ってきた。


「ボールドウィン!戻った!」オリビアは安堵に包まれ、叫んだ。彼のそばに急いだ。「で、何があった?大丈夫?」


ボールドウィンは頷き、疲れたふりで肩を落とした。見ず知らずの少年の完璧な仮面。


「きつかったよ、オリビア。」彼は低く疲れた声で言った。「盗賊…手強かった。もうダメかと思った。」


彼は一瞬、偽りの驚嘆で目を大きく見開き、沈黙を少し伸ばしてから言った。「でも—誰かが現れた。」


彼は信じられないふりで目を逸らした。「あいつの強さ、信じられないよ。一人で盗賊を蹴散らした。奴らは怯えた犬のようだった。」


声を柔らかくし、小さな袋を取り出し、掲げた。


「あいつのおかげで、食料を少し手に入れた。多くはないが、しばらく持つよ。」


オリビアは小さく息を吐き、疲れた笑みを浮かべた。「そう…よかった。」彼女は安堵と驚きで言った。


彼女は物資に手を伸ばし、助けようとした。「これ、戸棚に持ってって夕食の準備するね。」彼女は外に出て料理を始めた。


オリビアが去ると、ボールドウィンは小屋の隅で休むオリビアの母に目を向けた。彼女の弱々しい姿は、薄暗い光の下でさらに繊細に見えた。彼は静かに近づき、真紅の目が認識で細まった。


彼女の額に優しく手を置き、ボールドウィンは囁いた。


「覚えてる…英雄王国の元女王。でもお前—アリシャに似てるだけだ。」


彼は深く疲れたため息をついた。


「アリシャ、お前が言った通りだ。たとえお前を失っても、いつも…お前に似た誰かがいる。」


彼の声は誓いに変わった。


「約束を守る。どんなことがあっても。」


彼は目を閉じ、集中した。力を彼女に注ぎ込んだ。前回とは違い、今回は正確で、力は制御されていた。一瞬で、周囲の世界が変化した。


オリビアの母の額に触れると、何かが脈打った—白い虚空で響く遠い教会の鐘のようだった。建築は人間の教会を思わせたが、不気味で超現実的だった。窓もドアもなく、ただそびえる白い壁が微かに脈打っていた。


ボールドウィンが周囲を完全に理解する前に、深い、共鳴する声が空間全体に響き、彼の芯を震わせた。


「おお、ようこそ、小さな生き物。だが、ここでは歓迎されない。」


ボールドウィンの真紅の目が細まった。彼は姿勢を正し、オーラが抑えた力で燃えた。


「面白い。」彼は冷たく微笑み、唇に笑みが浮かんだ。「俺は皆を低と呼ぶ—なのにこの低俗が俺を小さな生き物と呼ぶか。」


彼の視線が鋭くなり、声が暗い面白さで落ちた。


「これが…因果応報ってやつか?」

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