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第45話



 思い出した。


 彼と喧嘩していた理由。


 グラウンドに行かなくなった私を、彼は心配してたんだ。


 余計なお世話だって、彼のことを突っぱねた。


 きっかけは確か、——そう



 夏が始まる頃だった。




 「…私はもう、飛ばないから」


 「は?飛ばない、…って?」


 「ほら、わかるでしょ。“才能”ってさ、人にはあるんだよ。どれだけ頑張っても、越えられない壁っていうか」


 「…なんだそれ」


 「おかしい?」


 「今度の大会はどうすんだよ」


 「…大会?…ああ、出ないと思う」


 「なんで?」


 「…なんでって、そりゃ…」



 彼は私のことを引っ張って、グラウンドに行こうと誘ってきてた。


 その度に私は断ってた。


 行ったってしょうがないし、急に飛べるようになるわけでもないし。



 「インターハイに出る。それが目標なんだろ?」


 「昔の話だよ」


 「…昔って、去年の話じゃねーか」



 そうだね。


 2年生の頃はまだ、自分のことを信じようとしてた。


 「飛べる」って思ってた。


 まっすぐバーに向き合ってれば、——きっと。



 「もう少し頑張ってみろよ」


 「…」


 「俺だって、才能なんかねーし」



 彼は彼で、甲子園に行くって夢見てた。


 でもそれは、私なんかよりもずっと現実的な話だった。


 才能がないって言うのも嘘。


 才能のない人が、チームのエースになんかなれない。


 当時はこう思ってた。


 軽々しく、「頑張ろう」なんて言わないで、って。

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