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第43話



 「正気かよ」


 「…うん」


 「10年後って言ったら、えーっと、俺たち27歳か??」


 「私は28だね」


 「そっか。4月生まれだもんな」




 彼はまだ、誕生日を迎えていなかった。


 同じ春の生まれだけど、彼の場合は遅生まれで、18になるにはまだまだ先だった。


 ここ10年のことを話した。


 高校を卒業した後のこと。


 社会人になって、最初に就いた仕事のこと。


 彼は面白おかしく、その話を聞いてくれた。


 やっぱり、信じてはくれてなさそうだった。


 当たり前っちゃ当たり前なんだけどさ?



 まるで、遠い昔のことを話してる気分だった。


 昨日の今日まで、自分がいた世界のはずなのに。



 「俺は?」


 「…え?」


 「サナが社会人なら、俺は?まさか、ただのサラリーマンとかじゃないだろうな」



 10年後の世界で、彼がどうしているか。


 その答えを知ってても、すぐには答えられなかった。


 ちゃんと言うべきなのかな?って思った。


 事故のこと。


 あの日、起こったことを。



 「…どうなんだろう」



 未来がどうなるか。


 確かこの頃、この河川敷で、これからのことについてを考える時があった。


 もう飛ばないって、自分の中で踏ん切りをつけた日。


 …それでも、未来についてはまだ分からなくて。

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