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第21話



 全部が詰まってた。


 当時の不安や期待も。


 窓辺から差し込む、眩しい街の色も。



 「本当に、過去に…?」



 呆気に取られながら、私は猫を見ていた。



 もし、時間を飛び越えられるなら——



 そう思いながら、電話の番号を押した。


 この場所、——この景色。


 過去を蒸し返そうってわけじゃないんだ。


 後悔しているわけでも、あの頃に戻りたいわけでも。


 …いや、後悔してないっていうと、それは嘘になるかもしれない。


 本当はわかってるんだ。


 時間は巻き戻せないって。


 戻りたくても、“戻れない”って。



 ずっと言い聞かせてた。


 踏ん切りがつかない自分に、強く言い聞かせてた。


 だからわかってた。


 頭の奥では、ずっと心残りだった。


 やり直せるなら、やり直したいんだってこと。


 …追いかけられるなら、ずっと追いかけていたいんだってことは。



 貼り紙は破ったはずだった。


 オリンピックのポスターも。


 表彰状や、大会の日にちが記載されたカレンダーも。


 いつの日からか、飛び方がわからなくなっていた。


 そんな自分が嫌になって、シューズやユニフォームを捨てた。


 不安に押し潰されるくらいなら、いっそ何もかも綺麗にしてしまおうと思ってた。


 飛ぶだけが全てじゃないって思った。


 あの頃の自分は、——いつも。

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