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日英の娘

 彼女は何も言わない

 

 彼女なのかも分からない


 ただ海原に続く東京湾を眺めている


 私達よりもずっと前に生まれた


 日英の娘戦艦三笠


 後輩か姉妹か親戚か


 赤の他人かもしれないけれど


 日本海軍を眺め続け


 占領軍を眺め続け


 自衛隊を眺めている


 ニミッツ元帥に寄付を受け


 異父か異母の姉妹アルミランテ・ラトーレから移植を受け


 覚えているのかいないのか


 たくさんの人に支えられ


 たくさんの人を乗せてきた


 数多の姉妹が海に沈み


 好敵手など残るはずもなく


 姉の名を名乗る巡視船しきしまは


 彼女にとってなんなのだろう


 戦後の日本は父なのか母なのか


 冷戦期のソ連軍も


 現代の中国軍も


 彼女は知らないのだろう


 彼女の知らないそれは


 平和なのだろうか


 彼女がそれをどうとらえているかは


 私達にはわからない


 幽世の東郷元帥は彼女のことをどう思っているのだろう

 

 それもまた私達が幽世で訊くしかないのだろう


 彼女はいつまでもそこにいるのだろう


 黒鉄の城は面影だけを残して


 今日も横須賀の海岸に佇んでいる

また明日会いに行こうかな

私の方は見ていないけど

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