95話
太陽を見なくなり1週間は歩いただろう。ようやく薄っすらと進む先に光が見えた。
「やっと……出口?」
「お? それっぽいな?」
先頭を歩くリリとロディは、ようやく見えた陽の光にホッと息を吐いた。
(まさか、ゲームでガチ歩かされるとは思わなかったわよ……)
走ればもっと早く出られたかも知れないが、どこに罠があるかも分からないとで警戒しながら歩き続けていた。
「感覚的にはほぼ真っすぐだったが、これで洞窟を抜けたら光神の里だったら笑えないな」
さすがに竹富も疲れの色が隠せないようで、少し弱気な発言になっていた。
「微妙なカーブはあったからなぁ……。気付かない内にグルッと回ってるとか、絶対にないとは言えないかもね」
「確かに……。だが、出口があるなら出るしかない……よな」
サラも里道も疲れが目立っていた。
(太陽が、こんなにも恋しいなんてね……)
リリは出た瞬間に何かあるかも知れないと警戒を強めた。
(ん? えっと……鉄格子……だよね)
進んだ先には太い鉄格子がいくつもあった。
「一応、扉のような物は付いてるけど……。何で鉄格子? 人質が逃げないようにするなら、岩とかで塞がない? 空気を取り入れる……にしては先過ぎるし……」
「意味分かんねぇよな。とりあえず、これ破壊して外に……」
ガコン ガラン カラカラン
ロディが鉄格子に手を掛けていると、隣でリリが鉄格子を切り倒していた。
「え"……」
「さすがドラゴン製〜。スッパリ切れたわぁ〜」
(マジ……?)
ロディは警戒する為に持っていた剣をジッと見てから鉄格子にあてがった。そして、力を込めて横に動かした。鉄格子の上部にスッパリ切れ目が入る。
「ウォッ⁉ マジで切れたぞ」
同じように下部にも切れ目を入れて蹴り飛ばした。
ガコンっ‼ ガランカラン コロコロ
リリとロディで人が通れる位の幅の分の鉄格子を切り倒した。
「刃こぼれ……してないな?」
ロディはマジマジと剣を見る。ドラゴンの鱗製の剣には傷一つなく輝いていた。
「開いたぁ〜?」
サラの呑気な声が響く。リリとロディが振り返るとサラ達は火をおこして、食事の準備を終えたところだった。
「お疲れ。出る前にご飯にしましょ」
2人共が鉄格子と格闘させておいて……と言いたいところだが、美味しそうな匂いにつられてお腹がグゥ~と鳴った。
リリとロディは顔を見合わせて笑った。