第6章 やると決めたらやるっ‼ 85話
翌朝、宿屋の部屋でリリはロディ、サラ、竹富を前に、これまでの経緯を話した。
もちろん自分が転移者である事を除いて。
里道はグッと唇を噛み締めるようにしながら、リリの隣に立っていた。
「これは……あくまで光神の里の内輪の話。ロディとサラに……協力をして欲しいとは言わないわ。竹富は……仲間と戦う事になるのだし、無理強いはしない。どうするかは各自で……」
「何言ってんだよ。一緒に行くに決まってんだろ?」
「ロディ……」
ロディは当たり前の事だと言わんばかりにリリと里道に近付き2人の肩を叩く。
「リリも里道も仲間だろ? 仲間が困ってんのを助けないとかあり得るか? 俺は行くぜ。リリが来るなって言っても行くからな?」
「ありがとう、ロディ」
「ありがたい。助かる」
仲間の為に危険を承知で協力してくれる。ロディの大きな手が心強かった。
「私も、もちろん行くわよ。そんな悪事を許す私じゃないわ。リリの故郷が大変な事になってるのに、私が行かないで誰が行くってのよ」
サラがロディと同じように、当たり前の事を言うなといった感じで言う。そして、腰に手を当てキリッとした顔でツカツカと里道の前に立った。
「そもそもっ‼ 里道っ‼」
「お……おぅ」
サラは里道の胸元をグイッと掴む。里道の腰が引ける。
(え? え?)
サラの行動にリリは度肝を抜かれた。
「何でっ‼ 私に黙ってたのよっ⁉ 一番にっ‼ 私にっ‼ 言いなさいよっ‼ 私が信用出来ないって思ってるのっ⁉」
「い……否、そ……そう言う訳では……」
少しずつ里道が後ずさる。サラはグイグイ押して行く。里道の背が壁に当たる。
「こ……光神の里の事だし……。と言うか情けない俺を知られたくな……」
「あんたねっ‼ 私が惚れた男の格好悪い所をちょっと見た位で見限るような女だと思ってんのっ⁉」
「そ……そんな事はっ‼ 俺は、サラを信用してるっ‼」
里道がサラの腕をしっかり掴む。
「あんた達……いつの間に……」
「いつから……なんだ?」
「里道……が……サラ……と……」
グイグイと詰め寄っていたサラの動きが止まった。そして、3人の方に振り向いた。
「あれ? 言ってなかったっけ?」
あっけらかんと言うサラに3人は首を縦に振る。
「そだっけ? まぁ、そう言う事だから」
(いつから……? そりゃ、仲良くなったとは思ってたけどぉ……)
里道の方が歳上なのだが、しっかりとサラの尻に敷かれているようだった。