84話
『リオ……。私ね……』
〘ロディを好きになって、ロディもリリを好きになったのね〙
記憶の共有したのだからリオにも伝わっているとは分かってても、顔が熱くなる。
(また、やっちゃったよぉ……。何で共有しちゃうかなぁ……)
〘良いじゃない。両想いなんて素敵な事だと思うけど?〙
『良いのかなぁ……。でも……』
〘いつか離れてしまうって分かってても、好きな気持ちは止められない……でしょ?〙
リオの優しい微笑みを見ていると、涙が溢れそうになってしまう。
(分かってる……。もう、こんなに好きな人は現れないって思う位に……私はロディが好きなんだ……)
『うん……。でも、今やらなきゃなんない事を優先する』
〘少し位、返事が遅れたからって、ロディはリリを嫌いになったりしないと思うわ〙
リオにキッパリ言われると、なぜかそうだろうと思えてしまうから不思議だ。
『ありがとう、リオ。じゃあ、人質のみんなを助けに行って来る』
〘ちょっと待って。1人で行くつもり?〙
『無茶……かな?』
〘竹富や里道なら来られるでしょう? 何で1人で行こうとしてるの?〙
さすがリオ。言わなくても分かっていたかと感心する。
『だってさ、見張りとか居たら竹富や里道は戦い難いでしょ? 元々、同じ里の人間なんだし……さ』
〘それはそうだけど。でも危険過ぎるわ。1人でなんてダメよ。里道は来ると思うわ〙
『ロディやサラは光神の里には入れないんだし、里道が来ても2人じゃ危ないかな?』
リオが俯いて何かを考えている。ゾクゾクする位に目が真剣だ。
『リオ……?』
〘パノール。ステルフ。そこに居る?〙
パノールとステルフはパタパタと飛んでいたのだが、リオの声が届いたのかリリの肩にとまった。
〘パノール。ステルフ。私の声届いてるわね? なら、ロディとサラを光神の里へ来られるようにしてあげて。転移装置を使うとしても、あなた達なら出来るでしょ?〙
(パノールとステルフの声が聞こえない……。リオと会話してるから……か)
しばらくリリの肩にとまっていたパノールとステルフは、またパタパタと飛び回った。
〘承知しよう〙
〘ボク頑張るよ〜〙
そう言うとパノールとステルフはフッと消えた。
〘リリ。街に戻って準備をして。パノールとステルフが上手くやってくれるわ〙
『ありがとう、リオ。きっと、光神の里をリオの思い描く良い場所にしてみるわ』
〘ありがとう、リリ〙
リリは力強く頷いた。
(決戦は明日っ‼)