83話
ロディとの夕飯を終えたリリは、もう一度リオに会う為に光神の里に向かった。
(リオ……。今日は会えるかな……。もし、会えなかったら……どうしたら良い……?)
何度目かの転移装置を使い、光神の里に向かった。いつもと変わらない風景が広がっていた。
(リオに悪代官面の話もしなきゃいけない……。里道の弟の事や他にも囚われの人が居る事も……。記憶の共有したから、リオは知らなかった事だったのは分かってる……。驚く……よね……)
そっと屋敷内に忍び込み、水鏡の間に入る。
(リオ……。お願い……)
そっと手を差し入れるとノイズのような耳障りな音はしたが、ユラリとリオの姿が現れた。
『リオっ‼』
〘良かった、リリ。無事だったのね。心配したのよ〙
『それは、こっちのセリフよ。何かあったのかと心配したのよ』
少し荒い映像のような部分と声がはっきり聞こえないが、リオは居てくれた。
『とりあえず記憶の共有をするわ。その方が早いでしょ?』
〘そうね〙
流れ込むリリの記憶。流れ込むリオの記憶。
〘そう……。里長が、そんな事を……〙
『私、人質の人達を助けたいの』
〘リリなら、きっとそう言うと思ったわ。リリの好きにして〙
『うん。リオなら、そう言ってくれると思った』
なんだかんだで2人は似た者同士なのだろう。リオがニッコリと笑う。
〘人質の人達が居る所には入るには真名が必要なの。今のリリには分かってるよね?〙
『うん、大丈夫。……ゴメンね、リオ』
〘どうして謝るの? 変なリリ〙
リオは笑っているが、分かっているはずだった。リリが、里長と対決すると言う事は、リオがゲーム内戻って来た時にリオが居た状況とは異なると言う事を。
〘ねぇ、リリ。私はね、悪事を働いている里長の居る世界に戻りたいんじゃないの。私が私らしく生きていた世界に戻りたいのよ。例え……リリが里長と対峙して、その世界が私が居た世界とは変わってしまっても、私はそこに戻りたいの。だから……思う存分やって〙
『リオ……。うん、分かった』
〘後悔しないように、リリらしくね。リリの思う正義を信じて。リリは私でしょう? 私が私を信じるのよ? 間違うはずないでしょ?〙
リオはリリ。リリはリオ。そう言われても性格の違いはあるはず。それなのになぜかお互いを信じられる。
『リオ。要石、必ず見付けるから。待ってて。世界中を駆け巡ってでも見付けるから』
〘頼りにしてるわ〙
いつの間にか出ていたパノールとステルフもリリの周りを楽しげにパタパタと飛び回っていた。