73話
早朝、野宿の後片付けをしてリリ達5人は外界への門へ向かった。
竹富がレオ達が門の前に居ないかを確認しに先行し、里道が自然区に居ないか確認しに行ってくれた。どちらにもレオ達の姿はなく、リリ達5人は揃って外界へと出た。
「ん? あれは……ウォームベアだな」
「え? あ、テディちゃんだ。肉の補充が出来るっ♪ リボンは傷付けちゃ駄目だからねっ⁉」
目の良い竹富が遠くのモンスターを見付け、リリとロディが素早く駈けて行く。
「サラっ‼ お願いっ‼」
「まっかせなさぁ〜いっ‼」
上空から襲いかかるモンスターは、サラが術を使い一掃する。
「リリ。この先に毒の臭いがする。迂回しよう」
「あ〜。毒は避けたいな……」
鼻が効く里道が毒の沼存在や死臭を教えてくれる。
成長が著しかったのはロディだった。それまで我流だった剣の使い方の悪かった点を改め、抜刀も速くなった。
「ロディっ‼ そっち行ったぁ〜っ‼」
「リリっ‼ 左から来るぞっ‼」
いつの間にかリリとロディの連携も息がピッタリになっていた。
✤✤✤
「あ〜っ‼ デメキンよっ‼ デメキンっ‼」
「サラっ‼ 尻尾は傷付けないでよっ⁉」
「あったりまえよっ‼ 金貨の元ぉ〜っ‼」
「久し振りのお刺身ぃ〜っ‼ あっ‼ サラっ‼ 黒デメキンよっ‼」
「赤も良いけど、黒も良いっ‼ レアよっ‼」
リリとサラが、ローズ湖のほとりではしゃぎながらデメキン狩りをしているのを見て、ロディ達は苦笑いを浮かべていた。
「楽しそうだな、あの2人」
「リリとサラは、良いコンビだな」
「本当に。なぜモンスターを狩るのに、あんな楽しそうなんだか」
赤いデメキンと黒いデメキンを仕留めたリリはザクザクと捌いて行く。今回のデメキンは小川産デメキンと違って、かなり大きくリリは血塗れになってしまった。
頭からモンスターの血を浴びて立っている姿など、現世だと通報物だろう。
「浄化……」
リリは、全身に浴びた血液を消し去るとデメキンを刺し身にすべくサクにしていく。
「これがデメキンの生?」
「そう。今回は普通の刺し身と皮を炙って見ようと思って」
「リリ。これ位の葉っぱで良いか?」
「里道、ありがと。こっち持って来て」
リリが慣れた手付きで刺し身を盛り、少し離れた場所でサラが炙りをしていた。
「かるぅ〜〜〜〜〜〜く、かるぅ〜〜〜〜〜〜く……ね」
初級の火系魔法を唱え、皮目を炙っていた。