72話
「改めてだけど……これからよろしくね」
自然区へと入り、野宿の準備をしたリリは、ロディ、サラ、竹富、里道に頭を下げた。
「おいおい。今更だぞ?」
「やだぁ〜。リリってば」
「妙な気分になるではないか」
「仲間……なんだし」
ロディ、サラ、竹富、里道は口々に言い、5人で笑い合う。もし、レオ達が外界に出ようとしても見付からないように、街道から外れた所で野宿をしている為、周りは漆黒の闇だがリリ達の表情は明るかった。
「ありがとう。じゃあ、もう一度行き先について話すね。外界への門を出たら南東方向に向かってレベルアップしながらヒメウズの街に行く。普通ならローズ湖の北を通るんだけど、あえて大回りして南側を通ろうと思うわ」
4人は大きく頷く。全員が一致しているのは自分を強くする事。心も体も技も術も。
「武器や防具も良いの揃えられて良かったな。これ造って良かったよ。サラ、良い鍛冶屋紹介してくれてありがとうな」
「中々、良い腕をしてるでしょ? 良い素材があれば、また使ってやって」
ロディの武器や防具、サラの防具、竹富と里道の武器。それなりに高かったが、ドラゴンの鱗を加工する手伝いをサラがやり、リリは持っていた素材を提供した。
その為、出立は数日遅れたが準備は万端になった。ドラゴン対策は色々出来た。
(みんなのステータスは見られないけど、武器と防具は良い感じだし、今度ドラゴンに会ってもあんなに手こずらないかな?)
これから過酷なレベルアップをすると言うのに、誰もビクつく事なく前向きだった。
「で、これ……デメキンだっけ? 美味しいわね」
サラは炙ったデメキンをむしりながら笑っている。
「リリは、これを生で食べたりするのだからな」
「生っ⁉ モンスターを生で……?」
「美味だと知った時の衝撃は……何とも言えなかった……」
「竹富も里道も生で食べたんだ……」
気が付けば、サラと竹富と里道も自然に話していた。
(何か……マジで嬉しい……。これが私の仲間……。出身とか、そんなの全部関係なく集まって、同じ目標に向かう仲間……)
食事を終えたロディは竹富と里道に頼み込み、抜刀の速度を上げる鍛錬を始めた。リリとサラは料理スキルを上げる為の話を始めた。レシピを共有すれば、交代ですればリリの負担が減るとサラが申し出てくれたのだ。
(クソゲーだ、クソゲーだって思ってたけど、ちゃんとしてる部分もあって良かった)