第5章 過酷なレベルアップが必要 68話
お互い……とは言っても、色々と話す事があるのはリリの方だけだったが、話すと長くなるので、手を合わせ状況を共有した。
〘そう……。リスティリア姫……がね〙
『うん。なんか従うのがバカバカしい位だったわ』
〘ロディとサラとだったら、上手くやれそうなのね〙
『竹富と里道も加えて5人なら、リオの要石を探しに行けそうだし、レベルアップもしたいし、ロディ達と旅にでようと思うんだ』
明るく笑って言うとリオは不思議そうな顔をした。
〘リリは、レオが好きだったんじゃないの? ロディと旅に出たら会えないのに、それでも行くのね〙
『え……? あ……』
気が付けばレオの事を思っていない時間が増えていた。ロディに旅に誘われて、レオに会えなくなると考えなかった自分に驚いた。
(な……何で……? 私、リスティリアをレオに引き渡してって時にはレオの事を考えたのに……。ロディに旅に誘われた時には、レオの事を考えてなかった……)
〘もしかして、リリは……〙
『ストップぅ〜っ‼ 言っちゃダメっ‼ ないからっ‼ 有り得ないからっ‼』
〘私、何も言ってないけど?〙
(う……)
ニコニコと笑うリオ。焦って変な汗をかいているリリ。あまりにも対照的なそっくりの2人。
〘別に良いじゃない〙
『……とりあえず、その話は置いといて……』
〘良いけどぉ〜〙
『リオ、何か楽しそうね?』
恐らくではあるが、リオはリリ所有のパソコンの中に居る。つまりは動けない。
〘だって、暇なんだもん。する事って言ったら、何か金属のトンネルとかの中をウロウロする位しかないのよ?〙
『パソコンの中を彷徨いてんだ? 何か気になるのはあった?』
〘私には難しいわ。ただ……〙
『ただ?』
リオが複雑な表情をする。
『リオ?』
〘表現が難しいんだけど、私……リオじゃなくリリね。リリが1人じゃなかったの〙
『え? リリが1人じゃない……?』
〘そうなの。あぁ、そのリリは動いてなかったわ。姿絵みたいな感じだったわ〙
リリが1人じゃなく、複数居て動かない。それが、どう言う意味があるのかリリは考えてみる。
その瞬間、いつものビリッがリリを襲った。
(なっ⁉ 何で? 私、動いてないわよ? リオと話して、それなりに時間が経ってるのに、何でっ⁉)
ふと見るとリオの姿が水鏡から消えていた。
「リオっ⁉ リオっ‼」
何度呼び掛けても、その日、リオは姿を現さなかった。