67話
「竹富……。里道……。私……」
「リリは、時期里長だ。我々には話せぬ事もあるとは思う。しかし、話せる事なら話して欲しい」
「竹富……」
目頭が熱くなる。
(駄目だ……。泣かない……。泣くもんかっ‼)
「リリ……。済まない。聞いて欲しい事がある」
「どうしたの? 里道」
黙って話を聞いていた里道が申し訳なさそうな顔をしながらリリを見た。
「光神の里は……反リスティリア派と言う訳ではない……。実は、リスティリア派とも繫がっているのだ……」
「……つまりは、光神の里は両方から依頼を受けて……?」
(Wスパイ……みたいなモンなんだ……。じゃあ、初めて光神の里に行った時、里道だけ任務報告する為に残ったのは……)
悪代官面は、どちらにも良い顔をしていた。きっと、両方から金貨を受け取り私腹を肥やしていたに違いない。
「ありがとう、里道。よく話してくれたわ」
「……いや……。その……」
「何でとは言わない。私にも言えない話があるのと同じように、里道にもあるだろうから」
「リリ……」
「お互い、話せる時が来たら話そう、ね?」
俯く里道の握った拳が震えていた。
(恐らく……身内に危害を加えられるとか、そんな感じ……かな……。あの悪代官面なら考えそう……)
「里道」
「はっ‼」
リリの凛とした声に、里道はしっかりと答える。
「あんたも……竹富も……大事な仲間よ。主従関係なんて、もう考えなくて良い。私の仲間。オッケー?」
竹富も里道も深く頷いた。
「うん。で、私は水鏡の間に行って来る。なるべく早く戻るから、サラとロディへの対応をお願い」
「ぎょ……いや、分かった」
「もし、2人が目を覚ましたら、上手く誤魔化しておく」
「うん。じゃあ行って来る」
リリは、転移装置へと走った。現世では、出来なかった男友達の存在が嬉しかった。
✤✤✤
ひんやりとした水鏡の間。前と同じようにフヨフヨが浮いていた。
(あれから……あんま時間経ってないのに、何か懐かしい……)
あの時と同じように、水鏡に手を入れた。そして、手に何かが当たるような感触があり、あの日のようにリオと繫がった。
〘リリ、どうしたの?〙
『リオ。そっちは変わりない?』
〘え? リリが前に来てから、そんなに時間経ってないわよ?〙
『え? もう、半月以上経ってるんだけど?』
2人は手を合わせた状態で固まった。
『何でっ⁉』
〘どうして?〙