56話
「良い判断だわ。じゃあ、よろしくね。雇い主さん」
「よろしくね。私は光神リリ。リリで良いわ」
「私は、サラ=パティル。サラって呼んで」
リリとサラはガッチリと握手をした。
(よし。これで生存確率は上がったな)
「ちょっとよろしいですか? 光神様」
「何?」
「どうして光神様がリーダーのようになさってらっしゃるのですか?」
「……なら、あなたがリーダーになれば? 先頭に立って歩いたり、戦闘の指示をしたり、今みたいに交渉したり。あぁ、私が交渉したのが気に入らないなら、今からサラと交渉する? 何なら金貨も出してくれても良いわよ?」
リリがイラッとしたままの口調で言うと、サラがニヤリと笑う。悪い顔をしてるサラは妖艶だ。
「そうね。貴族のお嬢様ならサービスするわよ? 金貨20枚でどう?」
「なぜ私だと値段が上がるのですかっ‼」
「見た目が金持ちっぽいからふっかけてみたのよ。それとも、その格好は見掛け倒し?」
初対面のサラにまで煽られ、リスティリアは顔を真っ赤にして怒る。世間知らずのお姫様に交渉処か、リーダーなんて任せられる訳もない。
「あのさ、とりあえず門を出ないか?」
ロディが、眉間の皺を深くしながら言う。門を出ようとしていた人は既に外に出てしまっていて、門内に居るのはリリ達だけになっていた。
「それもそうね。じゃあ行きましょ、リリ」
「そうね」
ワナワナと震えるリスティリアを無視して、リリとサラは歩き出した。その後を馬型モンスターの引き綱を引いているロディは続いた。
(俺……何か憑いてんのか……?何なんだよ、このメンバー……)
外界に出て、しばらく歩くとモンスターと遭遇した。自然区にも居たウサギ型モンスター。ただし、色が違った。
(コイツ……。如何にも毒持ってます……みたいな色してるのね)
毒々しい紫色をして、ピョコピョコと跳ねて蹴りを喰らわせて来る。
「食べらんないモンスターは消し飛べぇ〜っ‼」
綺麗な見た目とは相反する言葉を吐きながらサラが魔法を使う。毒々しい紫色のウサギ型モンスターは、一瞬にして消えて行った。
(サラ……MPどれだけあるのよ……)
そして、ふと気付く。
(あ……もしかして、さっき食べた料理の効果……とか?)
サラは、料理によって得た魔法の攻撃力アップで、まさになぎ払い状態でモンスターを討伐していた。
「リリぃ〜。さっきの料理、またお願いね」
スキップしながら言うサラに、リリは苦笑いをするしかなかった。