49話
結局、二時間かかって内壁の門に着いた。リスティリアが歩くのが遅いと外界には行けないとリリが力説し、ロディが馬型の飼い馴らされたモンスターを買って来たからだ。
「私が……コレに乗るのですか……?」
心底嫌そうな顔をしたリスティリアに、リリは遠慮なく言い捨てる。
「乗らないなら外界には行けないけど? 街中ですら時間掛けて歩いてるんじゃ外界に出たら即死よ? 言っとくけどロディ1人じゃ、どうやっても外界は越えられないからね。私とロディの2人でも敵わないかも知れないモンスターが出るのをお姫様はご存知ないのかしらね? てか、こうしている間にも、レオに会えない時間が増えてんだけど? レオに会いたいの? 会いたくないの?」
リスティリアが、またまたウルウルし出した。
「あ〜。悪いけど、私にはウルウル攻撃効かないから。泣いてどうにかしようとか考えんなら無理よ。てか、泣くんなら外界には着いて行かないから」
ロディが、馬型モンスターの引き綱を門脇に植わっている木に結び付ける。
「リスティリア。リリの言う通りだ。俺1人じゃ外界には行けない。モンスターが一体でも厳しいんだ。俺が戦ってる間にリスティリアを逃がすとしても、この馬型モンスターでさえ敵わない位に足が速いモンスターもいる。獣車じゃ無理なんだ。納得出来ないなら、城に送っていく。どうする?」
味方になると思っていたロディにまで淡々と言われてしまい、リスティリアはポロポロと涙を溢した。
(泣きたいのは、こっちだっての。何で、こんなトコで何時間も時間を無駄にしなきゃなんないんだよ……。本来のストーリーと外れて行くにしても、これは酷過ぎだろ)
リリは、思いっきり大きな溜め息を吐いた。
「はっきり決めてもらえない? 私は、既に配下の者を大型モンスターが居ないか偵察に出してるの。行かないなら呼び戻して、本来の仕事に戻りたいのよね」
リリは、なるべくイライラしないようにリスティリアから視線を逸らしながら話していた。泣けば良いと思っているかのような姿を見ると、リオとの約束でさえ投げ捨ててしまいそうになる気持ちが抑えられる自信がなかった。
「分かりました……。光神様の言う通りにします……」
嫌々、渋々といった感じで、リスティリアはロディに抱き上げられて馬型モンスターに乗った。
(ようやく……かよぉ……。ん?)
リスティリアが、ロディに分からないように睨みつけたのをリリは見逃さなかった。