47話
(落ち着け……。落ち着け、私。ここは我慢だ……。怒った処で、キャラデザ担当がリスティリアの衣装はこれだってやっちまったんだから、店に行った処で新衣装はないんだ……)
リリの握った拳がフルフルと震える。笑ってはいるが、コメカミがピクピクとひきつる。
「準備は出来てんだよな?」
「あ……当たり前でしょ……。何の準備もしないバカじゃないわよ」
苛ついているのが震える声で分かるのか、ロディはジッとリリの顔を見た。
(説明しても、どうにもならないんだから、とりあえず森を抜けよう……。で、さっさとリスティリアをレオに会わせて……ん? リスティリアとレオを会わせて、その後はどうなるんだ? まさか……その後も、リスティリアと旅するのか……?)
ニコニコと笑っているリスティリア。
不思議そうな顔でリリを見詰めるロディ。
コメカミをピクピクとさせ、不機嫌全開のリリ。
(こんなパーティで、どうやって戦う訳っ⁉ 竹富と里道は、私とは戦闘パーティ組んでたけど、ロディが入ったら入ってくんないんじゃないのっ⁉ もし、テディベアが出たらロディと2人で何とかなんのっ⁉)
そもそも、ロディのステータスの確認をしてなかったリリは溜め息を吐きながらステータス画面を開いてみた。
(あれ……? 何にも映らない……。どうして? あ、私が主人公じゃないから……か? って事は、ロディのステータスは実際の戦闘を見て判断しろって事かぁ……。でも、竹富と里道のは見えたよ? やっぱり、どっかチグハグしてる……)
無理矢理だろうが、ハチャメチャだろうが行くしかないのだ。
(あ"あ"ぁ〜〜〜〜〜〜っ‼ もうヤケクソよっ‼)
ロディには、リスティリアの面倒を見なければパーティ離脱すると宣言はしたが、ゲームのシステムには逆らえないのは分かっている。逃げられないと。ただ、口にせずにはいられなかった。
「とりあえず行きましょ。今から出れば、夕方までには外界への門には余裕で着くんだし」
「そうだな」
「では、まいりましよう」
リリが歩き出すと、後ろからリスティリアが声を掛けた。
「光神様」
「はい?」
リリが振り返ると、リスティリアが不思議そうな顔をして見詰めていた。
「どうかしたの?」
「あの……獣車は?」
「へ? 歩くのよ?」
「歩……く? 私が……ですか……? どうしてでしょう?」
その時、リリの脳内では血管が三桁はブチ切れたと言う……。