46話
翌朝。
予想以上に早く交代要員が着いた。
(あの悪代官面、仕事早いじゃない。里道に1人で追い掛けさせなくて良かったな。万が一の事があったら寝覚めが悪いしさ)
竹富と里道に任務の引き継ぎをしてもらっている間に、リリは野宿の後片付けをした。放置しても問題はなさそうだったが、性格上どうしても納得出来ずに徹底的に原状回復をした。
(よし、これで完璧。来た時より綺麗にって、ね)
✤✤✤
リリは、待ち合わせの広場の噴水の所で、ロディとリスティリアを待っていた。竹富と里道は一足先に森に向かっていて、大型のモンスターが近くに居ないかを探りに行ってくれている。
(ロディと私なら、わざわざモンスターのチェックしなくても良いだろうけど、あの姫が一緒だと……気を使うわね……)
旅の目的が『レオに会いたい』と言う事だが、リリのすべき事はリスティリアを護る事。万が一、リスティリアに何かあれば、反リスティリア派の思う壺なのだ。
(てかさぁ……。私にしても、あの姫に国を任せたくないのよね……。反リスティリア派の味方したくなるわよぉ……)
悪代官面に知られたら『裏切り者』として、リリが粛清されそうだが。
「よお、リリ。待たせたな」
ロディの声がして振り向くと、リリは膝から崩れ落ちそうになった。
(何だよぉ……、その……格好はぁ〜〜〜〜〜っ⁉)
リスティリア姫は、昨日と同じようなピンクのフリッフリのロングドレスを着て、高いビールを履いていた。
(それで、森を抜けるつもりなのかぁ……? それで、外界に行くつもりなのかぁ……?)
リリは呆れた表情で眺めているが、ロディは全く気にしていない。つまりは、『この格好がリスティリアの装束』と言う事。
(こんな格好した奴を護りながら、外界を旅するとか……何の罰ゲームだぁ〜〜〜〜〜っ‼)
ロディは、昨日と変わっていない。リリが現世でやっていた時と同じ。動き易い格好であり、格好良いと言う部類ではある。
(ロディ……。リスティリアの格好、それで良いのか……? 何の疑問もないのかぁ……? それで、旅に行けると思ってんのかぁ……?)
ロディと約束したのは『リスティリアがワガママを言ったら即時対処しろ』だった。『リスティリアの格好をちゃんとしろ』は言っていない。だからと言ってピラッピラのドレスは許されないだろうとリリは思った。