41話
鍛錬場に着くと リリは 初めてこの世界に来た日に 頭をぶつけた木に触れてみた
毎日 画面で見ていた最愛の推し
初めて生で見た推し
頭さえ打ってなかったら もう少し 会話も出来ただろうと思う
ドストライクの顔も声も もう少し堪能したかったし ストーリーが決まっているのだから 相思相愛は無理でも せめて 友達になりたかった
(レオ… 。レオは あのリスティリアに恋をするの… ? あのリスティリアと将来を共にするの… ? )
そこだけは違っていて欲しいと リリは真剣に思った
(あのリスティリアに国をまかせたら… 。私は この世界の人間じゃないから 国がどうとかは思わないけど ここには レオがいる。友達かって言うと微妙だけど 竹富も里道もいる。何より リオが戻りたいって言ったんだ。リオが戻った時 国は… 世界は崩壊寸前… みたいなのは出来ない。したくない )
「待たせたな 」
感傷に浸っているとロディの声が聞こえた
振り返ると何やら箱を2つ持っていた
「これやるから食え 」
「はい? 」
ロディは ティッシュの箱を2つ重ねた位の箱を1つ手渡してきたので リリは 受け取り蓋を開けた
中には リンゴ( っぽい物 )やイチゴ(っぽい物 )
野菜や肉をはさんだサンドイッチ
蓋付きカップに入った紅茶( っぽい物 )が入っていた
「えっと… 何で? 」
「何でって 腹減ってるからイラついてたんじゃねぇの? 」
怪訝な顔をしながらリリが訊ねるとロディは〘 当たり前の事 〙と言う感じで答え 自分の分の箱を持って木陰に入った
(腹が減ってって… )
リリは 振り返りながら小さく溜め息を吐いた
ロディは 地面に座ると箱を開け サンドイッチに齧り付いていた
(コイツ… 意味不明な奴だな。悪い奴じゃないんだろうけど… )
朝食は食べたから 半分 竹富と里道にと思ったが 振り返ると2人は居なくなっていた
(あれ… ? 何で居ないの? レオとは接触してたのに ロディとは駄目なの? )
パーティキャラとの接触が駄目だとしたら レオと会話をしていたのがおかしいと言う事になる
(もしかしたら 何か理由あんのかなぁ… 。仕方ない。食べるか )
世界観無視の蓋付きカップ紅茶(っぽい物 )は それなりに美味しかった