4話
部分的には記憶がはっきりとしているが、所々抜け落ちている記憶があるのが余計に不安になり焦る。
(えっとぉ……。いつものようにゲームしてて……途中でアイス食べたくなって……コンビニに行ったのは覚えてる。で、アイスとポテチとアールグレイティー買って……。それで、どうしてゲームの中にいるの……? 意味が分からないんだけど……)
うつむいた姿勢で考え込む。
だが、何度考えても思い出せないし 意味が分からない。
「リリ?」
声を掛けられ、ふと顔を上げると目の前にはパケ買いをする原因になったマリンブルーの瞳のイケメン。
レオーデ=ソルファ……のドアップ。
(どわぁっ‼ 顔っ‼ 顔、近いっつうのっ‼)
ドクドク バクバク
(し……心臓の音うるさいっ‼)
「リリ。何か、いつものリリとは違うようだけど大丈夫なのか……?」
心配顔は麗しいが思いっきり顔を近づけられて焦る。
「だっ‼ だ……だ……大丈夫っ‼ 大丈夫だからっ‼ 全然オッケーっ‼ オールオッケー‼ 問題なしだからっ‼」
イケメン3人は、何を言っているか分からないといった表情でお互いの顔を見る。
「竹富……。とりあえず光神の里へ急ごう。リリは普通じゃない」
(失礼だな、里道っ‼ 自覚あるけど……)
推しのレオの前であるのを忘れて睨みつける。
「そうだな。レオ殿。後ほど報告するとすると言う事で良いであろうか?」
里道の申し出に竹富は頷くとレオを見て訊ねた。
「分かった。後は任せる。」
(そう言えば竹富と里道、普通にレオと話してる……。こんなキャラいたっけ……? 私のやった事がないルートがあった……? 確かに☆が1つも付かないクソゲーだけど、私レオの姿を見たくて分岐ルートも全部やったよ……? 裏ルートってのもやったはず……。何周もやったけど、こんなキャラ知らない……。何で知らないキャラがいるの……? てか、さっきから 私の事を『リリ』って言ってるけど 私 『リリ』なんてキャラ知らない……)
「では 失礼する。リリ、行くぞ」
竹富が声を掛けるが無視をして、チラリとレオを見る。
(レオがいる……。私がレオを見間違う訳がない……。顔だって声だってゲームのまんまだし……。ゲームの中にいるのは確実って思うのに何……? この違和感……)
違和感しかないのに、誰もが自然なのが余計に不安を煽っていった。