表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/134

第3章 いざ ハルジオンの街へ 31話


 里の神社から外界へ向う壁の近くの大樹へと転移した。


 今回はプチ船酔いはしなかった。


(リオが慣れてたから……かな? それにしても一週間前にいた場所なのに懐かしい気がするなぁ……)


 実際の時間とゲーム内の時間の流れが違うのは分かっている。


(普通逆よ……ね? ゲーム内の方が早いはずなのに……)


 リリがのんびり考えていると、反対側の森の方から叫び声が聞こえた。


「逃げろぉーっ‼ 逃げろぉーっ‼ ウォームベアが出たぞぉーっ‼」


(え?)


 次の瞬間、ズシンズシンと地響きが聞こえ、振動が足元に伝わって来る。


「リリ。大型のモンスターが出現したようです」


 竹富に言われた瞬間、リリは走り出した。


(大型のモンスターが、何でまた壁の中に出るのっ⁉ リオの記憶にもここに大型モンスターが出るなんてなかったのにっ‼)


 ガサガサっ‼ バキバキっ‼


 リリ達が転移装置側の森を出ると目の前に居たのは十メートルを超えるオレンジ色の……愛らしいテディベア。


(はい……?)


 モフモフとしたオレンジ色の体。


 胸元には鮮やかなルビー色のリボン。


「ガァーっ‼」


 可愛い見た目からは想像出来ない叫び声を上げながら、周りの荷馬車をなぎ倒していた。


「里道っ‼ 身体強化お願いっ‼ 竹富っ‼ 援護をっ‼」


 竹富と里道は走りながら術を展開する。


(城から派遣されてる兵士のヘッポコポンコツっぷりったらないわねっ‼)


 まともにテディベアに敵わないのか、モフモフの手でなぎ払われている。


(こいつ倒しても可食部なさそう……)


 見た目からして中身は綿っぽい。


「けど、歩いて動いてんだし、多少は食べられる……のかな? 毛皮は 高値で売れるわよねっ。竹富っ‼ 里道っ‼ 毛皮には、なるべく傷を付けないでね」


「「承知っ‼」」


 リリは身体強化されたのを確認して、テディベアの頭上高くに飛び上がる。


 素早くケーキサーバーを太ももに装着してある鞘から引き抜く。


(テディベアってか着ぐるみなんだから、まずはこっからやっちゃうわよっ‼)


 リリはウォームベアの頭頂部にケーキサーバーを突き立てて、落ちる勢いのままウナジから背中の真ん中に真っ直ぐ刃を下ろした。


(中身……綿じゃなかった……)


 ズブズブと肉を切り裂く感触が手に伝わり、全身にゾワリと鳥肌が立った。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ