3話
(え? 記憶喪失……? そんなの漫画や小説とかの中の話じゃないの? 私は頭の中に霧とかモヤがかかってるみたいな感じなんたけど記憶喪失ってこんな感じなの……?)
自分の中に自分じゃない『何か』がいるような奇妙な感覚とズキズキと痛む後頭部と背中。
「竹富。里道。リリはどうしたら治る?」
(竹富……。里道……。何か、うっすらと記憶にあるような……ないような……。ある訳ない……。こんなイケメン一度見たら忘れないわよ)
とりあえず眼福とばかりに周りの3人のイケメンを眺める。
「我々の任務は終わった。そろそろ交代の人間が里から来る。本来なら入れ替えで里に戻るべきだが一刻も早く里に戻ろうと思う。光神の里に戻れば治るであろう。心配なさるな」
「そうか……。私は里に着いて行く事は出来ないからな……」
レオが心配そうに顔を曇らせる。
(あぁ……。イケメンの憂いを帯びた顔も素敵……。写真撮って永久保存したい……。てかマジ頭痛いんだけどっ‼)
恐らく目がハートになってるんだろうとは思うが、ズキズキと痛む頭が『そんな場合かっ⁉』と不平を訴える。
「兵長であろうが王帝陛下であろうが 里には入れぬ。後は任されよ。」
(竹富って里道より偉いの? ずっと竹富が喋ってんだけど……。それとも里道は無口なだけ? あぁっ‼ もうっ‼ 頭痛いんだけどっ‼)
自分を置き去りにして進められる会話と頭の痛みにイライラが頂点に達した。
「ちょっとっ‼ あんた達、何の話をしてんのよっ⁉ 分かるように説明しなさいよっ‼ てか、頭痛いんだけどそっちは放置な訳っ⁉」
3人のイケメンが目を点にして固まった。
「リリ……。頭を打ったら性格が変わったのか……? お主、そんな話し方ではなかっただろう……?」
(え……? ん……? あれ……?)
思いっきり怒鳴ると、一気に頭が働いた。
(ここってファンタジックフラワーフィールドの中……とか……? まさかね……。でもレオとロディが鍛練してた王城内の修練場に似てる……。てか目の前にレオがいる……。マジで……ここ ゲームの中……? 何で……?)
ぐるりと高い壁で囲われ、上部には魔法障壁が施してある。
虹色の空に見えるのは、その所為。
(あり得ないってっ‼ 漫画や小説じゃあるまいし、何で私が転生とかしてんの? いやいやっ‼ 転生するとかないからっ‼ する理由もないし、しなきゃなんない理由もないっ‼ 夢だよ、夢っ‼)