24話
〘確かに そうよ……ね。もしかしたら出来るかも知れない〙
『本当っ⁉』
〘多分。水鏡が不思議な力があるから。リリと私がちゃんと繋がってるなら……だけど〙
実際、今リオとリリは手を合わせる姿勢である。
リオの言う通りなら、リリの記憶を書き足してもらえば、こちらでリリが動きやすくなる。
それは、元に戻る近道と考えた。
〘私の記憶とリリの記憶を共有すると念じるわ。リリもそう念じて。私達、光神の人間の術は念じる事で発動するから、念と水鏡の力があれば 上手く行くと思うの〙
『分かった』
((二人の記憶を共有する……))
念じた途端、激流のような感覚がリリの全身を駆け巡る。
リオのリリとしての記憶。
そして、リリの記憶がリオへと流れ込む。
時間にすればほんの数秒の事なのに、息が上がってしまった。
「ハァ……ハァ……」
〘ねぇ、リリは レオが好きなの?〙
水鏡の中のリオが真顔で訊ねた。
「え? あっ‼」
(私のアホぉ〜っ‼ 記憶の全部を共有しなくても良かったのにっ‼ リオの記憶を私に流してもらうだけで良かったのに、何で共有なんてしたのよっ‼ 超絶……恥ずかしいんだけどぉ……)
なぜか共有と言う選択をしてしまった事を激しく後悔するが、時すでに遅し。
〘フフッ。リリ 可愛いわね〙
(ちょっと待てぇ〜っ‼ 何の記憶を見て言ってるぅ~っ⁉)
レオ関係では、かなり恥ずかしい事をやらかしているのをしっかりと思い出してしまった。
〘で、リリの記憶は大丈夫? ちゃんと戻った?〙
『えぇ、お陰様で……』
ご都合主義のゲーム内。
自分の名前もしっかり思い出した。
『私の名前は瀬田光里。だけど、この名前は今は忘れておくわ。私は光神リリとして、リオをこちらの世界に戻し、私がそちらに戻る方法を探さないといけないんだから』
〘そうね。ありがとう、リリ。私、自分が ゲームのキャラクターだなんて思ってもなかったわ。でも、私が生きていたのはそこなの。なぜ記憶が途中までしかないのかは分からないけど、私は私の生きていた世界に戻りたいの。お願い。私を私が居た世界に戻して〙
『分かった。私 頑張るから』
自分がゲームのキャラだった事を知っても戻りたいと願リオは、たくさんの記憶と術、そしてステータスアップをリリにもたらした。