15話
道具屋に猪もどきの毛皮を売り、防具屋の荷馬車の品揃えを確認すべく移動する。
(多分、基本的な衣装の感じは変わんないはずよね? イベ衣装とかなら、水着とかハロウィンコスとかパーティーコスみたいなのあるけどさ。とりあえず忍者服っぽいの探せばそれでオッケーよね? ゲームの中で忍者っぽいキャラなんていなかったしさ)
防具屋の荷馬車は道具屋の二つ隣だ。
一番最初に目についたのは銀色の鎧。
(あ……これ、レオの鎧だ……)
ゲーム内で外界へ向かう時に買った銀色の鎧。
序盤だから防御値は高くはないが、シンプルでレオに似合っていた事を思い出す。
(これと後半のミスリルの鎧が好きだったんだよね。レオは銀色の鎧が似合うのよね〜。今、レオがパーティーに居ないけど買っちゃう? いやいや。今確認しなきゃなんないのはエロ忍者服の新コスチュームだから。あるでしょ? 忍者っぽい奴……)
荷馬車の前に広げられた防具を見ても、荷馬車に積んである木箱の中まで見ても忍者服っぽい物はなかった。
(えぇ〜っ⁉ 何でっ⁉ 防御値は大して変わんなくても、外界に行く用の新コスあるんじゃないの……? 普通あるっしょ? 初めの街とか、新しいフィードに行く時に新しい防具とか武器買うって奴……)
もう一度、全ての商品を確認をするが、それらしい物は一つもなくガックリと肩を落とす。
(……しばらくこのまんま……なの……? せめて、もうちょい明るい色……って、忍者は明るい色とか 派手な色って着ないんだっけ……? じゃあ黒でも良いよぉ……。このピンクだか薄紫だか分かんないのより 黒で良いっ‼ おいっ‼ キャラデザ担当っ‼ 黒の忍者服よこせっ‼ 次の防具屋で売ってなかったらブン殴るからなっ‼)
ブン殴れる訳もないし、そもそも キャラデザ担当がゲーム内に居る訳でもないけれど、正当な権利だと言わんばかりに文句を並べたてた。
ぶつくさ言いながら毛皮を売ったお金で、スパイスや調味料。そして肉焼き機を買い、竹富達の元へ戻った。
(新しい忍者服を買う為に頑張ってモンスター狩るわよっ‼ ユーザーに『ゲームのジャンル変わった』って思われたって良いわよっ‼ 料理スキル上げてウルトラ上手に焼きまくって、体幹も鍛えてやるわよっ‼ 今に見てろよぉ……。私は転んでも タダじゃ起きないんだからなっ‼)