表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
134/134

最終話


「え? どうやってゲームしてたんですか?」


 加々美の質問に違和感を感じた。


「え? このパソコンで……ですよ?」

「それは……無理ですよ? このパソコンはあのゲームに対応してませんから」

「えぇっ⁉」


 光里の目がパソコンに向く。


(どう言う事……? 私、散々やったよ……? 全部……夢だった……? そんな訳ない。ちゃんとやったよ?)


 ロディに似た加々美に昨日までの事を話そうかと迷った。


(信じてもらえる訳ないよね……。うん。あれは、私だけの大切な思い出にしよう)


 加々美の探していた光里のパソコンの中には、試作品1と試作品2があるのだろう。


(私、ゲームしたいだけでパソコン買ったからチェックなんてしてなかったけどさ。ゲーム以外使ってなかったし)


 なぜ、対応してないパソコンでゲームが出来たのかなんて事はどうでも良い。


 大好きなロディと大好きな仲間達と一生懸命に生きた事実があれば良い。


「瀬田さん?」

「あ、いえ。何でもないです」

「そうですか? あ、このパソコンの代わりのパソコンを送ります。それでゲームをしてください」


 加々美は、そう言って名刺入れから1枚取り出して光里に手渡した。


「ゲーム制作会社……?」

「ええ。ゲーム制作会社に再就職したんです。俺の作ったゲームをクソゲーなんて言わせない為に」


 ニッコリと笑った顔は、やはりロディに似ていた。


「加々美さんのゲーム楽しみに待っています」


 光里は、そう言って右手を差し出した。


「ありがとう。待っていてください」


 加々美の右手は大きく温かだった。





 後日、光里の自宅に最新型のパソコンが届いた。


(このパソコンの中にはロディも……リオ達も居ないけど……)


 切ない気持ちが押し寄せる。


 なぜゲームの中に入ってしまったのかは分からない。もしかしたら日々の生活でモヤモヤして生き辛かったのがゲームの主人公リリと瀬田光里がリンクしてしまったのだろうと光里は思う事にした。


(考えても分からない事を考えても仕方ないよね。全部分かったら面白くなんてないし……さ)


 新しいパソコンの隣には『ファンタジックフラワーフィールド』が置いてある。


 でも『置いてあるだけ』。


(この新しいパソコンでは、新しいゲームをするんだ。新しいゲームを始めるんだ)


 その時、軽快なアラーム音が響いた。


「あ、デートに遅刻しちゃう」


 光里は慌てて部屋を後にした。




 



Fin




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ