132話
気が付いたら翌日の朝だった。
ポケットに入れてたスマホから軽快なアラーム音が聞こえた。
(ヤバ……。床で寝てたから体中が痛い……)
スマホを取り出しアラーム音が止める。
(ブッ倒れたのに画面割れてなくて良かった……。あ……昨日買ったポテチとかコンビニの前に置いて来ちゃったよ……。ダッツ……溶けてゴミ箱行きになっただろうな……)
わざわざ取りに行くとしてもコンビニに行けば良いのか、落とし物として警察に行けば良いのか考えるのも面倒になり、とりあえずシャワーを浴びた。
打ったと言われたのはオデコと後頭部だったが、どうやら肘も打っていたらしく青痣になっていた。
(大して痛くないし、後で湿布貼っときゃ良いよね……)
シャワーを浴び、スッキリしてから再びパソコンをつけゲームの確認をしようとしたが、昨日と同じだった。
(あの中古のパソコン屋、閉店しちゃったからなぁ……。パソコン修理とかの店を探してみる……? 新しいの買う余裕ないし……)
仕事は休み。パソコンの店を探す前に何となくSNSをチェックしていると1つの投稿に目が止まった。
〘このパソコンとモニターを探しています〙
写真と共に投稿されたもの。拡散希望のハッシュタグがあり、かなり拡散されている。
投稿された日付けは数日前。
(この写真……私のパソコンに似てない……?)
本体に貼られたうさぎのシールやモニターにある傷が自分のパソコンにそっくりだった。
(この記事の人にDM送ってみようか……? 写真を撮って一緒に送れば信用してもらえるだろうし……。でも、DMは相互フォローしないとダメだしなぁ……)
なぜ、こんな古いパソコンを探しているのかも気になった。売った事情も気になった。
(いやいや、売った事情なんてプライベートな事は訊かない方が良いって……。とにかく探しているって事なんだし……さ)
光里は写真を数枚撮って、その写真をSNSにアップした。
そして、パソコンを探している投稿主をフォローした。
(これで、私がパソコンを持っているって事が分かるよね?)
その投稿をしてしばらくするとフォロバがありDMが来た。
丁寧な文章。恐らく自分よりは歳上であろうと推測した。
(このパソコン返したら、私はパソコンなくなっちゃうんだよね……)
そこは悩み処ではあったが、返してあげようとパソコンを自転車に積み待ち合わせの場所へ向かった。