13話
農夫達を避難させた里道が戻って来てから、三人で協力して綺麗に毛皮を剥ぎ、肉として食べる部分を分けた。
(生肉……は、お腹壊しそうだし、やっぱ 焼くか……。燻製も良いかも。けど、燻製する道具ないもんなぁ……。仕方ない。焼く……か……)
ゲームの中だから生肉でも大丈夫だろうとは思うが、やっぱり……なんとなくヤバい感があった。
(多分、ゲームのなんでも入れちゃえ袋の中だと生肉でも大丈夫なんだろうな……。けどさ、リアルな話リュックでも中身を整理せずにいたら必要な物が直ぐ取り出せないのに、ゲームの中の道具袋ってどう言う構造してんの? 袋の中ってクローゼット状態……とか?)
小説や漫画のゲーム内転移した主人公達はこの疑問をどうしてたのかと思いながら、その辺に生えている竹の様な植物に肉を刺して焼き始める。
(肉焼く道具って道具屋に売ってるかな……? 焼けるまでずっと手で持ってたら結構重いんだけど……。ウルトラ上手に焼ける気がしないんだよな……)
部分的に少し焦げてしまったが、竹富と里道が持っていた塩分補給用の塩を振って食べた猪もどきの肉は美味しかった。
「うむ……。初めて食べたが美味いものだな」
最初は怖々だった里道が、モグモグと食べながら言う。
「確かに……。毒を持っていないかと危惧していたが大丈夫なようだな」
(毒……? あ……私は毒があるモンスターを覚えてるけど、竹富達は 知らないのよね……?)
教えておいた方が良いだろうかと悩むが『リリ』が、フィードのどこまで行った事があるのか分からない。
行った事がないフィードのモンスター情報を知っていると言うのは何となくマズい気がした。
(モンスターの肉が食べられるってのをどこで知ったとか訊かれなくて良かった……。これからは気を付けなきゃな……)
竹富も里道も『リリ』には疑ったりと言う事がなかったのだろうと思った。
(忠実な部下……って奴……? 信頼してたんだろうな……。私が『リリ』じゃないと知ったら、この二人はどうするんだろ……?)
そんな事を考えつつ、猪もどきの肉をむしりながら食べる。
さすがに かぶり付くのは、イケメンの前では出来なかった。
(とりあえず、どっか道具屋に行こ……。料理スキル上げときたいから調味料と鍋買いたいしな……)